30日の香港市場は売りが先行するか。外資の中国株離れへの懸念が重荷になりそうだ。ゴールドマン・サックスは最新リポートで、中国株が「投資性を備えていない」との意見がこのところ顧客からよく聞かれたことを明らかした。中国当局による一部業界への「極端な統制強化」がすべての企業に拡大する可能性は低いとする一方、政策リスクという逆風が依然として中国株のバリュエーション評価に影響するとの見方を示した。これを受けて前日のNY市場で中国IT大手のテンセント(
00700)やアリババ集団(
09988)などの米国預託証券(ADR)が香港終値を大幅に下回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を230ポイント超下回って寄り付くことになる。
また、ハンセン指数に連動する香港最大規模のETF、トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン(
02800)は29日大引け後、定款を修正し、「米国人が同ETFを購入してはならない」ことを明記した。トラッカー・ファンド・オブ・ホンコンは今年1月、トランプ前米大統領が署名した大統領令の発効を受け、制裁対象となる中国企業への新規投資を停止すると発表したが、その後一転して決定を撤回し、投資を継続すると表明した。その際は「同ETFは米国投資家の売買には適さない」と注意喚起していた。
前日のNY市場でダウ平均は3日ぶりに反発。前日にパウエルFRB議長が資産購入の段階的縮小(テーパリング)を急がない姿勢を示し安心感が広がる中、4−6月期の米GDP速報値や新規失業保険申請件数が予想より弱い結果となったことも緩和的金融政策の長期化期待を高めた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は小幅に続伸した。