モルガン・スタンレーは最新リポートで、過去1カ月間に美団(
03690)とJDドットコム(
09618)の株価がCSI海外中国インターネット指数に連動するクレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネット・ファンド(KWEB)をアンダーパフォームしたことについて、JDドットコムによる中国のフードデリバリー事業への積極的な参入と、それを受けて美団が講じる対抗措置に対する投資家の懸念が背景にあったとの見方を示した。ただ、これまでの市場シェアは美団が75%、アリババ集団(
09988)傘下の「餓了麼」が25%で、JDドットコムの参入による影響は小さいと予想。JDドットコムの2025−26年の市場シェアは5%にとどまると見込む。25年には同シェアが10%にいったん上昇するものの、26年には再び低下するとみている。『AAストックス』が22日伝えた。
モルスタは、JDドットコムの参入で2社の短期的な収益見通しに下振れリスクが生じるものの、美団が価格補助金による対抗措置を取っていないため、短期的な収益力はJDドットコムよりも底堅いとの見方を示した。
バリュエーション面では、美団を持続的な2桁の利益成長が見込める中国インターネット大手の一角として評価し、JDドットコムより上昇余地が大きいと指摘。2社の投資判断をともに「オーバーウエート」とし、短期的には美団を選好。一方、美団の目標株価を190HKドルから165HKドルに引き下げ、JDドットコムは215HKドルから180HKドルに引き下げた。
また、JDドットコムの多額の補助金による成長戦略は持続不可能と指摘。その理由として、◇食品配送事業がJDドットコムに大きな損失をもたらしていること、◇クロスセル活動によって損失を完全に相殺することが困難であること――を挙げた。