11月の招福銘柄は、中国政府による景気対策の恩恵銘柄や医薬品銘柄などに注目した。まずは中国政府が1兆元の国債増発を決めたことを受け、インフラ関係で恩恵を受けそうなセメント銘柄の安徽コンチセメント(
00914)とプラスチック製配管材料メーカーの中国聯塑(
02128)の2銘柄に着目。ディフェンシブな医薬品銘柄からは薬明生物技術(
02269)と無錫薬明康徳新薬開発(
02359)を選んだ。このほか、11月の大規模ネットセール「双11」への期待から海信家電集団(
00921)にも着目した。今月はこの5銘柄に注目したい。
■安徽コンチセメント(00914):政府の景気対策が追い風、株価底打ちも
株価:19.52HKドル(10/31終値)
【安徽省政府系のセメント大手】不動産市況の悪化などを受けてセメント価格が下落し、株価も低迷しているが、中国政府が景気対策に本腰を入れることで業績改善につながるとの連想が働きそうだ。全国人民代表大会(全人代)常務委員会は10月下旬に1兆元相当の国債の追加発行を承認。10−12月に国債を発行して財源を確保し、公共投資の拡大を通じて景気浮揚を目指す方針を打ち出した。セメントなどの建材メーカーには強い追い風になる見通し。安徽コンチセメントの株価は7月に約7年ぶりに20HKドルを割り、今も軟調な動きが続くが、景気対策でセメント需要と価格が上向けば株価も底を打つと予想する。
■海信家電集団(00921):「双11」で販売増、1−9月期は127%増益
株価:21.50HKドル(10/31終値)
【中国の白物家電大手】中国で毎年11月11日に合わせて実施される恒例の一大ネットセールイベント「双11」が支援材料。中国当局による大手IT企業への締め付けを受けて近年はやや盛り上がりに欠けるが、依然として注目度は高く、家電など高額商品を中心に販売が増えると予想される。コンサルティング会社の調査では、今年の「双11」で3000元超の支出を予定している割合が回答者全体の6割超に上っており、国産ブランドが好まれる傾向が続いていることも追い風。23年1−9月期決算は14%増収、127%増益と好調で、23年12月本決算でも同業他社を大きく引き離すとみられている。
■中国聯塑(02128):1兆元の国債増発で恩恵、業績期待が株価の支援材料に
株価:4.20HKドル(10/31終値)
【プラスチック製配管材料メーカー】中国政府が決めた1兆元の国債増発で恩恵を受ける銘柄として選んだ。国債発行で調達した資金は、災害復興や災害対策などのインフラ建設プロジェクトに充当する計画で、具体的には復興支援や治水工事、土壌浸食防止などの災害防止設備の建設、灌漑地区の建設・改修、都市排水能力の強化などに充てられる。プラスチック製配管の需要拡大が見込まれ、業績拡大期待につながりそうだ。直近23年6月中間決算は増収増益を確保したものの、株価は年初から約3割下落と軟調に推移。23年予想PERは4倍台と割安感が出ており、業績期待が高まれば底打ち反発が期待できそうだ。
■薬明生物技術(02269): 割安感を意識した買いが支え、下半期の業績改善見込む
株価:48.60HKドル(10/31終値)
【バイオ医薬品の開発受託会社】バリュエーションが割安とみた買いを集めそうだ。23年6月中間決算は粗利益の低下が響いて10.6%減益だったものの、ファクトセットがまとめた市場コンセンサス予想によれば23年通期は16%増益の見込み。株価は今年に入り、成長鈍化懸念が重荷となって下落していたが、7月上旬におよそ8カ月ぶり安値を付けた後は上昇基調に転じた。同社は業務の拡大に向け、欧州や米国、中国本土で生産能力の増強を続ける方針。また、60%子会社のWuXi XDCケイマンを香港市場で分離上場する計画が香港証取のヒアリングを通過したことも、事業成長の新たな布石として市場に評価されそうだ。
■無錫薬明康徳新薬開発(02359):肥満治療のGLP-1で注目、一段高に期待
株価:94.00HKドル(10/31終値)
【新薬開発の受託会社】中国で肥満治療に用いるGLP-1(グルカゴン様ペプチド−1)受容体作動薬への注目度が高まるなか、足元で大きく買われる場面もあったが、一段高に期待したい。同社は米製薬会社、イーライリリー・アンド・カンパニーの糖尿病治療薬、マンジャロ (チルゼパチド)の主な製造業者で、同薬の肥満治療への適用は10−12月期にも認可されるとみられる。中東情勢の緊迫や、米利上げの長期化、中国経済の先行き不安など市場全体で懸念材料が多いなか、同銘柄はディフェンシブ性からも買われやすそうだ。23年1−9月期決算は4%増収、9.5%増益と業績は安定成長。