5月の招福銘柄は、IT系銘柄を中心に選んだ。4月は多くのIT銘柄の株価が下落したが、快手科技(
01024)やJDドットコム(
09618)など、特に下げのきつかった銘柄は割安感が強まってきており、安値では買い戻しの動きも期待できそうだ。猫眼娯楽(
01896)は連休中の映画興行収入、京東健康(
06618)は業績の持続的回復が期待される。また、中国建設銀行(
00939)は純金利マージンの縮小懸念の後退が追い風となりそうだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■中国建設銀行(00939): 純金利マージンの拡大見込む買いが支え
株価:5.25HKドル(4/28終値)
【中国2位の商業銀行】純金利マージンの拡大に伴い利益が膨らむとの見方が株価の支えとなりそうだ。中国金融当局による貸出金利の低め誘導が警戒されていたが、足元で預金金利を下げる動きが始まったと伝わり、利ざや縮小懸念が後退しそうだ。中国メディアによると、当局が先月の会合で預金金利引き出しを促したもよう。業界関係者は純金利マージンが23年通期では安定を維持するとみているという。中国4大商業銀行のなかで中国建設銀行の純金利マージンは最も高い一方、23年予想PERで比較すると割安感があることも支援材料となりそうだ。
■快手科技(01024): 不透明感解消に期待、1−3月期決算も支援材料の可能性
株価:51.30HKドル(4/28終値)
【短編動画プラットフォームの運営会社】米政権が米国企業による中国の特定分野(半導体や人工知能(AI)、量子コンピューティングなど)に対する投資を制限すると報道されるなか、足元で中国ネット株が総じて売られているが、同社の事業内容から制限対象になる可能性は低いだろう。5月19日のG7サミット前にバイデン大統領が大統領令に署名するとみられているが、投資制限を巡る不透明感が解消されれば株価に有利に働きそうだ。同社が5月に発表する1−3月期決算も支援材料になる可能性がある。証券各社は赤字が引き続き縮小するとみる向きが多く、4−6月期には収支均衡を達成するとの見方も出ている。
■猫眼娯楽(01896):連休に合わせて新作映画約20本が公開
株価:8.68HKドル(4/28終値)
【映画のオンラインチケット最大手】「ゼロコロナ」終了で映画業界全体が急速に回復するなか、労働節(メーデー)連休に合わせて約20本の新作映画が封切られることが材料。メーデー連休としては過去最多で、パイロットたちが困難な任務に挑む『長空之王』などが注目作品。昨年は上海で約2カ月にわたってロックダウン(都市封鎖)が実施されたこともあり、興行収入は過去最低を記録したが(映画館の営業が全面禁止された20年を除く)、今年は一転、新作映画に加え、3−4月に公開された『すずめの戸締まり』や『スラムダンク』などの日本映画も好調で、大幅な反発が期待されている。
■京東健康(06618):業績が持続的に回復、6月中間決算で最高益更新も
株価:56.25HKドル(4/28終値)
【医薬品のネット通販最大手】業績の改善が好感されると予想して選んだ。医薬品を取り扱うだけに経済動向の影響を受けにくい点も強み。22年12月本決算は売上高が前年比で52%増え、通期決算では4年ぶりに黒字転換を果たした。ファクトセットの市場コンセンサス予想によると、23年6月中間決算は売上高が前年同期比35%増の272億1500万元、純利益が同81%増の4億400万元と中間期の過去最高を更新する見通し。例年5月下旬に決算を発表する競合の阿里健康(
00241)は23年3月期決算で黒字転換を果たすとの見方が優勢だが、純利益自体は伸び悩むと見込まれており、選別が進む展開も予想される。
■JDドットコム(09618): 株価の大幅下落で割安感、底打ち反発に期待
株価:135.90HKドル(4/28終値)
【中国のネット通販大手】足元の株価大幅下落を受けたリバウンドを期待して選んだ。売り上げ成長の鈍化を背景に証券会社の目標株価引き下げの動きが相次ぎ、株価は4月に2割超下落。年初からの下落率は4割近くに達し、上場来安値を更新している。5月11日に発表される1−3月期決算は、ファクトセットのコンセンサス予想で売上高は1%増と伸び悩むものの、最終損益は29億9100万元の赤字から29億3200万元の黒字への転換が見込まれている。決算発表後に悪材料出尽くし感が強まり、割安感が意識され始めれば、株価が上場来安値圏にあるだけに底打ち反発も期待できそうだ。