6月の招福銘柄は、本格的な夏到来を前にサマーストックを中心に選んだ。夏場の旅行需要拡大を期待してオンライン旅行会社の同程旅行(
00780)、エアコン需要を期待して海信家電集団(
00921)を選択。このほか、五輪などのスポーツイベント開催が追い風となる李寧(
02331)、そしてビール銘柄のバドワイザーAPAC(
01876)を選んだ。一方、通常はウインターストックに位置づけられる波司登国際(
03998)にも着目。UVカット衣料のシェア拡大に期待して選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■同程旅行(00780):旅行シーズンを迎えて需要拡大に期待
株価:17.86HKドル(5/31終値)
【中国のオンライン旅行会社大手】夏の旅行シーズンを迎えて業績拡大期待から選んだ。5月に発表した1−3月期決算の直後に株価が急落し、5月は株価が月間で14%安と沈んだが、業績自体は堅調。1−3月期決算は50%増収、5%増益となり、売上高と純利益はいずれも直前の市場予想を上回った。新事業への投資や競争の激化で利益率への下押し圧力が高まっている点は懸念材料ではあるが、目先では端午節や夏の旅行シーズンを迎えて旅行需要の拡大が見込まれる。6月8−10日の端午節連休では鉄道チケットの予約が好調と伝わっており、株価急落後の見直し買いに期待が高まりそうだ。
■海信家電集団(00921):買い替え促進策やMSCI指数追加がプラス材料
株価:35.50HKドル(5/31終値)
【中国の白物家電大手】中国政府が家電などを含む消費財の買い替え促進に向けた「行動計画」を発表し、各地で取り組みが始まっていることが追い風。深セン市は24年の消費財の小売販売額の伸び率目標を7%超とし、自動車・家電・通信機材の買い替えが占める割合を24%超とする方針を定めた。同社は売上高の半分以上をエアコンが占めており、需要の高まる夏場を迎えることもあり、販売の増加が期待される。また、5月31日大引け後にMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)の構成銘柄に追加されており、機関投資家の資金流入も見込まれる。
■バドワイザーAPAC(01876):大型のスポーツイベント続く、消費増の連想も
株価:9.88HKドル(5/31終値)
【アジア最大のビール会社】夏場に注目されやすい銘柄として選んだ。6月の月間騰落率の実績は過去4年間で3勝1敗と勝ち越し。特に今年は6月半ばにサッカーの欧州選手権が開幕して7月半ばまで続き、その後は7月下旬にパリ五輪が開幕する。ともに欧州で行われるため、テレビ放映の時間帯は東アジアで夜から深夜。ビールを片手にテレビ観戦というイメージで消費が伸びるとの連想が働きやすいとみられる。業績見通しは良好で、ファクトセットの市場コンセンサス予想は24年12月期の純利益が前年比19%増の10億1800万米ドル。純利益が7年ぶりに10億米ドルの大台に乗るとみられている。
■李寧(02331):7月にパリ五輪開幕、業績拡大期待が株価押し上げ要因に
株価:20.35HKドル(5/31終値)
【中国のスポーツ用品大手】世界的なスポーツイベントの開催を控え、業績の拡大を見込む買いが入りそうだ。サッカーのUEFA欧州選手権が6月から7月にかけて行われ、7月にはパリ五輪が開幕する。23年12月本決算は販売費の増加が痛手となり22%減益となったものの、各種スポーツイベントの再開などで売上高は7%増加。増収傾向は今年に入っても続いており、1−3月期の「李寧」ブランド(「李寧YOUNG」を除く)の小売売上高は前年同期比で1桁台前半の増加、電子商取引は20%台前半の増加だった。昨年は下落基調だった株価も今年に入って徐々に下値を切り上げており、買いの好機とみる。
■波司登国際(03998):UVカット衣料のシェア拡大に期待、通期業績も支援材料か
株価:4.52HKドル(5/31終値)
【中国のダウン衣料最大手】ウインターストックのイメージが強いが、昨年に投入したUVカット衣料の新製品が好評で、同社公式サイトによると中高級のUVカット衣料で販売量は国内トップ。デザイン性、製品ラインアップの充実性、機能性、コストパフォーマンスなどの評価が高く、今年も販売増とシェアの拡大が期待される。中国で恒例のネット販促イベント「618セール」での販売実績や、6月末までに発表する24年3月本決算も支援材料になる可能性がある。ファクトセットの市場コンセンサス予想では24年3月本決算の売上高が前年比29%増の216億9900元、純利益が35%増の28億7800万元に上る。