ロイター通信は25日、事情に詳しい関係者の話として、新エネルギー車大手のBYD(
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関係者によると、BYDは一部の工場で夜間勤務を中止し、生産能力を少なくとも3分の1削減した。こうした前例のない措置が少なくとも4工場に導入されたほか、複数の新生産ライン計画が棚上げされたという。目的はコストを削減とみられるが、ある関係者は販売目標が達成できなかったことを受けた措置だと述べた。
中国汽車工業協会(CAAM)のデータでは、BYDの今年4月と5月の生産台数はそれぞれ前年同月比13%増、0.2%増だった。春節(旧正月)連休の影響で工場の稼働が低下した2024年2月以来の低い伸び率となった。23年、24年には4−6月期から月間生産量が増え始めていたが、25年は傾向が変わり、4月と5月の平均生産量は24年10−12月期と比べて29%減少した。また、中国汽車流通協会(CADA)が5月に実施した調査によると、BYD販売店の平均在庫は3.21カ月分で、中国の全ブランドの中で最も高かった。業界全体の在庫水準は1.38カ月分だった。