中国の民営自動車メーカー、吉利汽車(
00175)は20日大引け後、筆頭株主の浙江吉利控股集団と共同で、仏ルノーのブラジル子会社「ルノー・ド・ブラジル」に資本参加し、合弁事業化すると発表した。吉利汽車は全額出資子会社を通じ、計5億400万ユーロ(39億3000万元)に相当する知的財産(IP)ライセンス権および現金を代価として、ルノー・ド・ブラジルの普通株とワラント(新株予約権)、優先株(普通株への転換権付き)を取得する。浙江吉利控股集団も全額出資子会社を通じて知的財産(IP)ライセンス権を代価に、ルノー・ド・ブラジル普通株を取得することで20日に合意した。出資手続きの実施には関連当局の認可が必要となる。
手続き完了後、吉利汽車と浙江吉利控股集団がそれぞれルノー・ド・ブラジル株の21.29%、5.11%を握る。一方、既存株主であるルノーの持ち株比率は現在の99.96%から73.57%に、少数株主の持ち株比率が0.04%から0.03%に縮小する。なお、吉利汽車がワラントおよび優先株の転換権を全て行使した場合、持ち株比率は29.42%に上昇する。
合弁会社となったルノー・ド・ブラジルは今後、ルノーブランドや吉利ブランドの乗用車と、ルノーブランドの小型商用車を生産・販売していく。吉利汽車と浙江吉利控股集団が出資の対価とするIPは、吉利グループが開発した排出量が少ない自動車の機械アーキテクチャー(バッテリーやモーターなど)と電気・電子アーキテクチャー。IPライセンス権持ち株会社の株式の形で現物出資する。
吉利汽車は今回の出資について「世界の貿易政策が日増しに不透明となるなか、グローバル事業の展開を現在の主力市場から一段と多様化していく」と説明した。南米最大の市場であるブラジルで、ルノー・ド・ブラジルの製造拠点と販売を活用して事業を拡張する。