2025-05-30 |
中国/業界動向/その他 |
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EV大手が大幅値下げ、中国の再インフレは短期実現が困難か=モルスタ
モルガン・スタンレーは最新リポートで、中国本土における自動車価格の競争激化が、需給不均衡によるデフレの悪化を浮き彫りにしていると指摘した。経済の再均衡の必要性を訴える声は強まっているが、旧来の供給主導モデルがなお根強く残っており、再インフレの実現は引き続き難しいとの見方を示した。『インフォキャスト』が29日伝えた。
中国では昨年末以降、「内巻化(限られた資源・機会を巡る過度な競争)」に反対する論調が政策当局や国営メディアを通じて発信されている。製造業向け融資の鈍化、過剰生産分野への投資減速、工業利益の小幅な改善などが再均衡の初期的な進展とされる中、ある中国の有力電気自動車(EV)メーカーが今月27日に大幅値下げを実施。市場の混乱を招くとともに、中国経済の成長や物価回復の見通しを巡る議論が再燃している。
モルスタは、工業利益の統計を精査すれば、構造的な需給不均衡が依然として物価上昇を阻んでいることがわかると指摘。かつてのような債務主導型の景気刺激策はすでに終焉を迎えており、再均衡と再インフレは現在、社会保障の改善、債務再編、税制改革、成長を促す規制環境の整備など、構造的取り組みとほぼ同義になっているとした。こうした改革は実施の難度が高く、短期的な再インフレの実現は困難で、長期的にも険しい道のりになると予想した。