ロイター通信は27日、ブラジルの労働検察当局が同国で工場建設を進める中国の新エネルギー車大手、BYD(
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002594)などを相手取り、劣悪な労働・生活環境に置かれていた労働者への補償を求める訴訟を同日起こしたと報じた。検察側はBYDと請負業者の金匠集団、Tecmontaに対し、精神的損害の慰謝料2億5730万レアル(約4500万米ドル)の支払いと、被害を受けた労働者への個別補償を要求。加えて、被告3社に対する労働法規の順守の義務付けを求め、違反1件当たり5万レアルの罰金を、被害者である労働者の人数に応じて科すよう求めている。
提訴に対しBYDは「わが社は人権を尊重し、ブラジルや国際的な労働保護基準を一貫して順守してきた」とする声明を出した。同社はすでに労働検察当局に協力しており、訴訟には正式に書面で対応するという。
ブラジルの検察は昨年12月、BYDの下請け業者がブラジル・バイーア州で中国人労働者220人を雇用し、「奴隷のような環境」で働かさせていたと発表。こうした労働者が国際的な人身売買の被害者だと主張した。Fabio Leal副検事によれば、3社との協議が昨年12月末に始まったが合意に至らなかった。協議が不調に終わった理由の詳細は明らかにしなかった。