2025-05-21 |
中国/政策/小売業 |
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上海市が消費拡大へ政策パッケージ、所得増やサービス向上も
上海市政府は21日、消費拡大を図る「消費促進特別行動計画」を公表した。都市と農村の所得向上、サービス供給の強化、大型消費の更新支援などを通じ、国の方針に沿って国際消費都市の建設を加速する。地域の実情に応じ、個人消費の底上げをねらう政策パッケージとなっている。
都市・農村住民の所得増加に向けては、就業支援策の強化と若者への就労・起業支援を柱とする。人工知能や介護など重点分野の技能人材育成を推進するほか、賃金制度改革や最低賃金の調整メカニズム整備を通じて、労働者への分配の最適化をめざす。農村部では土地や住宅資源の活用、民宿や文旅(文化・観光)産業の育成により、住民所得の底上げを図る。
消費能力の保障では、育児・出産支援、教育・医療体制の強化、高齢者向けサービスの拡充などを挙げた。特に幼児保育や老齢介護の受け皿整備を進め、生活コストの抑制を通じた可処分所得の向上を狙う。社会保障制度の改善、年金制度の拡充なども盛り込まれた。
サービス消費の高度化では、演芸・観光・スポーツなどのイベント経済の拡大を打ち出した。国際的なテーマパークやスポーツ大会の誘致に力を入れるほか、「観光+文化」「スポーツ+商業」といった複合型の消費モデルを育成する。医療、家政、通信などのサービス業の外資開放や新業態の導入にも取り組む。
さらに、家電・デジタル製品の「以旧換新(買い替え)」を後押しする補助金制度や、住宅の購入・リフォーム支援策も強化。老朽化団地の改修や若者向け賃貸住宅の供給拡大も盛り込み、耐久消費財の更新需要を喚起する。
上海市人民政府がこの日公表した同計画は、消費が経済成長をけん引する「基礎的役割」を担うと位置づけ、地域経済の安定成長と中長期的な消費力の向上を視野に入れる。