2025-05-08 |
中国/業界動向/金融 |
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中国の政策金利引き下げ、銀行の純金利マージンを圧迫=S&P
米格付け会社S&Pグローバル・レーティングスは最新リポートで、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝行長が7日発表した金融緩和が中国本土の銀行にとってネガティブな要因となるとの見方を明らかにした。今後2年間で政策金利がさらに引き下げられ、中国本土で銀行の純金利マージン(NIM)が一段と縮小するとみている。2025年から27年にかけて商業銀行の平均純金利マージンは約0.35ポイント低下して1.16%前後に落ち込むとの予測を明らかにした。『信報』が8日伝えた。
S&Pは今回の政策金利の引き下げを緩和サイクルの一部と位置づけ、25年に0.5%、26年に0.3%の追加利下げが行われると予想。中国金融当局は米国の関税政策の影響を相殺するために金融緩和を拡大し、緩和の局面が26年まで続く見通しだとした。
また、S&Pは関税を巡る対立が中国の雇用や一部の業界に負の影響を及ぼし、債務不履行のリスクを高めると指摘した。本土系銀行は今年の経済成長が鈍化するリスクへの対応を迫られており、先ごろ打ち出された金融政策パッケージが銀行の業績を圧迫するとの懸念を示した。
ただ、S&Pは中国本土の銀行が比較的高水準の引当金を維持しており、収益力を下押しする圧力を一定程度は和らげられると評価。商業銀行の平均総資産利益率(ROA)は、24年の0.63%から27年には0.48%まで低下する見込みだが、過去の局面で十分な引当金を計上していなかったならば、下げ幅はさらに大きくなっていたとの見方を示した。