交銀国際は最新リポートで、トランプ米大統領が4月初旬に発表した「相互関税」政策の影響でアジア太平洋市場が大きく下落し、香港株も主要国際指数とともに調整を余儀なくされたと指摘した。一方、調整後の香港株は底堅い展開を見せており、中国人民銀行(中央銀行)などの市場支援姿勢や、政府系マネーによる市場救済、百社を超える国有企業の自社株買いなどが下支え要因となった。さらに相互取引を通じて本土から香港市場に投資する「南向き資金」も純流入を続け、市場心理の改善に寄与しているとした。『AAストックス』が2日伝えた。
交銀国際は、関税によるショックは4月下旬に入りやや緩和し、海外不確実性も後退しているとの見方を示した。トランプ氏が「相互関税」の一部を90日間停止し、通信機器や半導体などに対する相互関税を免除すると発表したことや、中国側も米国製品への関税を一部免除したことで、世界の株式市場は持ち直しつつあると指摘した。
中国当局も4月の中央政治局会議で「外部衝撃の影響が拡大」に対応し、より積極的なマクロ政策を打ち出す方針を明示。預金準備率や政策金利の引き下げ、新たな構造的金融政策ツールの導入、地方政府の特別債や超長期特別国債の発行の加速など、柔軟かつ連携した政策対応を掲げた。消費拡大や民生支援を柱とした内需刺激策の迅速な実施も予想されるとした。
交銀国際は、香港上場株について引き続き人工知能(AI)・テクノロジーセクターを選好。AIインフラ、クラウドサービス、AI応用の関連銘柄はバリュエーション見直しの好機にあると指摘した。特に技術蓄積と商業化能力に優れるリーディング企業を有望視。また、サプライチェーンの国産化が進む中で、内製化ニーズに応える半導体設計企業にも注目すべきとした。
ただ、関税を巡る混乱は一時的に落ち着いたものの、トランプ氏の政策運営に不透明感が残るため、市場の不安定さは続くと予想。ディフェンシブ資産として高配当株の保有を勧めており、特に電力・公益、通信、銀行といったキャッシュフローが安定し、配当利回りが高いセクターに注目すべきとした。
5月の推奨銘柄として、奇富科技(QFIN)、Link REIT(
00823)、上海韋爾半導体(
603501)、アリババ集団(
09988)、テンセント(
00700)、小鵬汽車(
09868)、康方生物科技(
09926)、新奥能源(
02688)を挙げた。