2025-04-24 |
香港/投資判断/証券 |
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米中関税緩和なら中国ハイテク・消費・ヘルスケアに追い風=モルスタ
モルガン・スタンレーは最新リポートで、米中の関税摩擦が大幅に緩和されれば、中国のハイテク、消費、ヘルスケア分野にとって強い追い風となり、特にオフショア市場がオンショアのA株市場を上回るパフォーマンスを示す可能性があるとの見通しを示した。ただ、米中交渉のハードルが高く、根本的な利益相反が存在することから、戦略的にはバランスの取れたポートフォリオを維持すべきだとしている。『AAストックス』が24日伝えた。
モルスタは、トランプ米大統領が対中関税の大幅な引き下げを示唆し、ベッセント財務長官も関税緊張の緩和を予測したことに言及。これを受け、市場心理は改善傾向にあるとの見方を示した。仮に関税戦争が緩和すれば、米国に上場する中国企業の上場廃止リスクといった非関税分野の懸念も後退し、中国市場全体のリスクプレミアムとバリュエーションの改善につながる可能性があるとした。
こうした前提のもと、モルスタは大型テクノロジー・インターネット企業、デフレ圧力からの回復が見込まれる消費財、緊張緩和の恩恵を受けるヘルスケアの各セクターが最も恩恵を受けやすいと分析。一方で、現在のところ効果的な米中間対話が行われているという確たる証拠はなく、関税戦争の緩和に向けた具体的な前提条件も不透明なままだと指摘した。米国は引き続き国内産業保護や投資促進を優先しており、貿易合意は依然として困難との長期的見方を崩していない。
こうした状況を踏まえ、モルガン・スタンレーは投資家に対し、短期的には忍耐強く、バランスの取れた投資戦略を推奨。具体的には、オフショア市場では質の高い大型インターネット株、オンショアのA株市場では優良な消費財株を保有しつつ、ポートフォリオの一部にディフェンシブな銘柄を組み入れることを提案している。
モルスタは、今後の注目点として、中国政府の公式反応、実務レベルの協議の進展、既存関税の一時停止の有無、さらには米国預託証券(ADR)廃止や投資制限、技術輸出禁止といった非関税措置の動向を挙げ、投資判断の材料とすべきだとした。