中国のリチウム大手、天斉リチウム(
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SQMはチリのアタカマ塩湖でリチウムを採掘する権利を2030年まで認められている。しかし22年3月に就任した同国のボリッチ大統領は23年4月に国内のリチウム産業の国有化を表明。国有企業がリチウム生産を主導し、民間企業の投資は部分的に認める方針を示した。
SQMとコデルコは23年12月、アタカマ塩湖リチウム事業を25年から60年まで担う合弁会社を設立する覚書(MoU)を交わした。ただ、SQM取締役会が24年4月、MoUの承認を株主総会で付議しないと発表。天斉リチウムは覚書の下で開発権が合弁会社に移ればSQM株主の権益が損なわれる恐れがあると主張し、CMF がSQMに臨時株主総会の開催を命じるよう同年5月21日に要請していた。SQMが同月31日に発表したコデルコとのパートナーシップ合意には、契約成立の前提条件として天斉リチウムの要請をCMFが拒否することが含まれていた。
SQMはニューヨーク証券取引所(NYSE)とサンティアゴ証券取引所に上場している。天斉リチウムは18年にSQMの2位株主となった。24年6月3日時点の持ち株比率は22.16%。