米IDCが8日発表した2024年1−3月期の世界パソコン出荷数(デスクトップ、ノートブック、ワークステーションなどの従来型PC)速報値は前年同期比1.5%増の5980万台だった。22年1−3月期から2年続いた前年同期割れが終わり、新型コロナウイルス禍前の19年1−3月期(6050万台)に迫る水準に持ち直した。「成長の主因は、23年第1四半期の出荷数が28.7%減と過去最大の落ち込みだった反動」とIDCは述べた。
企業別出荷ランキングは、中国のレノボグループ(
00992)が前年同期比7.8%増の1370万台となり、首位を守った。市場シェアは21.6%から23.0%に拡大。23年1−3月期に急減していた反動で市場全体を上回る伸びを達成した。同様に前年同期が大幅減だった米アップルも14.6%増の480万台を出荷し、4位となった。2位の米HPは0.2%増の1200万台、3位の米デル・テクノロジーズは2.2%減の930万台と伸び悩んだ。
インフレ率の低下傾向を背景に、ほとんどの地域でパソコン出荷台数が回復し始め、南北アメリカと欧州・中東・アフリカ (EMEA) の市場は成長した。ただ、デフレ圧力にさらされる中国ではデスクトップPCの出荷台数が減り、世界全体の市場成長の足を引っ張った。
IDCの調査マネジャー、Jitesh Ubrani氏は「中国の不振にもかかわらず、24年も回復が続くだろう。新型の人工知能(AI)パソコンが今年後半に店頭に並び、業務に使う買い手がコロナ禍期間に購入したパソコンを入れ換え始めるからだ」「出荷台数が増えるにつれてAIパソコンの価格は高くなる見通しで、パソコンや部品のメーカーの商機拡大につながる」と述べた。