ロイター通信は27日、アリババ集団(
09988)とテンセント(
00700)が動画配信会社の愛奇芸(iQIYI)を買収する協議を停止したと伝えた。愛奇芸の経営権取得を目指して個別に交渉していたが、売り手の百度(BIDU)が示した評価額が200億米ドルに上ったことで、二の足を踏んだもよう。アリババ集団とテンセントはともに独自の動画配信サービスを展開しており、中国当局が独占に対する監視を強化していることで、協議がすぐに再開する公算は小さい見通し。テンセントによる愛奇芸評価額は百度提示額のほぼ半分という。
消息筋によると、動画投稿アプリ「ティックトック(抖音)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)も愛奇芸買収を検討している。中国版「ネットフリックス」と呼ばれる愛奇芸は米ナスダックに上場しており、時価総額は164億米ドル。百度の持ち株比率は56.2%で、持ち分評価額は92億米ドルとなる。
愛奇芸を巡っては、空売り業者のウルフパック・リサーチが4月に売上高を水増ししていたとするリポートを発表し、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出した。愛奇芸は中国動画配信市場で2位を誇るが、10年前の設立から赤字が続いている。
関連銘柄の27日終値は次の通り。
■アリババ集団(
09988):269.60HKドル(前日比0.22%高)
■テンセント(
00700):583.00HKドル(同0.51%安)