週明け25日の香港市場は神経質な展開か。中国の全人代で香港での国家分裂や中央政府の転覆などの行為を禁じる香港版の「国家安全法」が議題に入り、政治リスクを嫌気して前週末のハンセン指数は5.56%安と急落した。心理的節目の23000ポイントを割り込み、約2カ月ぶり安値を付けただけに、自律反発を狙った買いが入りやすい。半面、香港情勢の緊迫化や香港問題を巡る米中関係の一段の悪化に対する警戒感が根強く、相場の重荷となりそうだ。
香港では24日、「国家安全法」に反対する数千人規模のデモがあった。デモ隊と警察が衝突し、180人以上の逮捕者が出た。一方、香港の人権問題を巡り、米上院が中国共産党幹部に制裁を科す法案の検討に入ったと伝わったほか、トランプ米大統領も法案が実現すれば「極めて強硬に対処する」と述べていた。「国家安全法」は28日に全人代で採決が行われる予定。
22日のNY市場でダウ平均が小幅に続落した。米中対立が重荷となる半面、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展や経済活動の再開に伴う景気の回復に対する期待が相場を支えた。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、欧州金融大手のHSBC(
00005)、中国IT大手のテンセント(
00700)、本土大手国有銀行の中国建設銀行(
00939)、アジア生保大手のAIAグループ(
01299)、チャイナ・モバイル(
00941)といった大型銘柄が香港終値を下回った。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を約40ポイント超下回る水準で寄り付くことになる。なお、きょうの米国市場はメモリアルデーのため休場となる。