14日の香港市場は軟調な展開か。新型コロナウイルスによる肺炎の感染が収束するとの期待が後退し、投資家がリスクを取りにくくなりそうだ。新型肺炎の発生源である中国湖北省が13日、「感染者」の定義を広げ、臨床診断で肺炎の症状が見つかった人も加えた。認定基準の急な変更は湖北省に限った措置。他の省・市に同じ基準をあてはめれば感染者数が急増する公算が大きく、市場に「状況判断が難しくなった」と受け止められかねない。過去最高値を更新していた米株式相場が13日に反落したことも、投資家心理を冷やすだろう。
もっとも、中国政府が景気下支えのために金融緩和と財政出動に動くとの期待は根強い。ハンセン指数が相場の強気と弱気の分かれ目とされる250日移動平均(13日大引け時点で27693.28ポイント)を割り込む水準では、下げ渋る展開がありそうだ。「新型肺炎の影響が比較的軽微なニューエコノミー大型株は買い」(香港経済日報)との見方も出ている。ただ、代表的なニューエコノミー株であるアリババ集団(
09988)は13日、新型肺炎の感染拡大が供給網や物流などに影響し、2020年1−3月期(第4四半期)に中核のeコマース事業が減収となる可能性があると警告した。
13日のNY市場ではダウ平均など主要3株式指数がそろって反落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。アジア基盤の保険会社AIAグループ(
01299)や香港公益株のホンコン・チャイナガス(
00003)、石油株のCNOOC(
00883)が香港終値を上回った半面、中国4大商業銀行の中国建設銀行(
00939)と中国工商銀行(
01398)、電力事業投資会社の電能実業(
00006)が下回って終えた。