22日の香港市場で、香港のテレビ局TVB(
00511)が後場に急伸。終値は前日比6.06%高の12.60HKドルだった。大株主である陳国強会長の辞任を受け、経営上の対立が解消されるとの思惑買いが入ったもよう。
TVBは同日前引け後、同社株26%を持つ筆頭株主のヤングライオン・ホールディングスの保有権再編の一環として、陳氏が保有するヤングライオン株の売却に同意し、正式署名したと発表した。売却実施には香港通信事務管理局の承認が必要となるため、TVBは同局に承認を申請する。売却が完了すれば陳氏はTVBの権益持ち分を全て手放すことになる。その後、陳氏は引退生活に入る予定。
陳氏はさらに、会長職と非執行取締職から2月4日付で退任するとTVBに通知した。陳氏は2011年4月に同社の非執行取締役となり、2015年1月に会長に就任していた。
香港の日刊紙『星島日報』によると、陳氏は台湾女性実業家の王雪紅氏と財団を組成して11年にTVBの支配権を握った。ところが15年に中国本土のメディア王、黎瑞剛氏(16年にTVB副会長兼非執行取締役に就任)が乗り込むと、取締会内部で会社の発展方向を巡る対立に発展した。今回の陳氏の退場は、黎氏との「手打ち」の結果だという。
香港メディア『香港01』よると、黎氏が率いるファンド「華人文化産業投資基金(CMC)」がヤングライオン株の79.01%を保有している。陳氏と王氏の持ち株比率それぞれ14.99%、6%に過ぎない。もっとも、ヤングライオンはVIE(変動持ち分事業体)構造を持ち、陳氏は持ち株数は少ないものの議決権の過半を握っている。ただ、香港の法令の下、本土出身の黎氏が持てる議決権は制限される。陳氏が去った後、黎氏は自身と協力できる香港人を次期会長に据える意向とみられる。