11日の香港市場は、米中合意への期待から買いが先行するか。米国時間の10日から米中の閣僚級通商協議が2カ月半ぶりに再開した。同日の協議について、トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に対し「非常にうまくいった」と述べたほか、「11日に中国副首相とホワイトハウスで会う」とツイートした。米中が何らかの合意に達するとの見方が出ている。
もっとも、買い一巡後は次第に上値が重くなる可能性がある。協議の最終結果を見極めたい投資家心理から、一方的に持ち高を傾ける動きは限られると予想する。米国は15日に2500億米ドル分の中国製品の関税率を25%から30%に上げる構えで、今回の協議で関税引き上げを回避できるかがひとまず焦点になりそうだ。
香港情勢も懸念材料。デモ参加者がマスクなどを着用することを禁止する「覆面禁止法」の発効以降、あすは2回目の週末を迎える。デモ隊と警察の衝突やデモ隊による破壊行為が激しさを増す中、小売りや飲食など香港経済への影響が深刻化している。週末の抗議デモに対する警戒感から香港地場系銘柄が売られやすい。
前日のNY市場でダウ平均は続伸し、150米ドル高で終えた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も続伸。10日の香港株の米国預託証券(ADR)は、欧州金融大手のHSBC(
00005)、IT大手のテンセント(
00700)、アジア生保大手のAIAグループ(
01299)、本土国有銀行大手の中国建設銀行(
00939)などの主力株がそろって香港終値を上回った。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を約140ポイント上回る水準で寄り付くことになる。