10日の香港市場は反発して始まるか。米国と中国の貿易交渉が行き詰って世界景気の減速につながるとの懸念が後退し、投資家が運用リスクを取りやすくなりそうだ。ムニューシン米財務長官は9日の米テレビ番組『FOXビジネス』で、中国の高官が米閣僚との協議のため10月に訪米することは「中国の誠意の表れ」であり、懸案となっている合意事項の執行強制についても「概念的な共通認識は出来ている」と述べた。同日、米債券市場では米10年物国債利回りが上昇しており(価格は下落)、金融機関の収益悪化懸念が和らぐと予想する。
中国政府による金融緩和と産業政策も引き続き投資家心理を支えるだろう。市場関係者は、中国政府が16日実施の預金準備率引き下げに続いて銀行の貸出金利を低めに誘導するとみている。中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出制度(MLF)の金利を下げ、同金利を基盤とするローンプライムレート(LPR、銀行の企業向け最優遇貸出金利)を抑えるとの見方だ。
もっとも、中国景気の減速懸念は根強く、ハンセン指数の上値が重い展開が予想される。8日発表の中国の8月の輸出が予想に反して伸び率がマイナスに転じた。きょう午前に発表される中国物価統計が注目の材料となろう。
9日のNY株式相場は、ダウ平均が小幅に4日続伸した半面、ハイテク株主体のナスダック総合は続落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。国際金融銘柄のHSBC(
00005)やAIAグループ(
01299)、中国インターネットサービス大手テンセント(
00700)、生保大手の中国平安保険(
02318)が香港終値を上回ったものの、中国4大商業銀行の中国工商銀行(
01398)と中国銀行(
03988)、携帯通信最大手のチャイナ・モバイル(
00941)、香港公益株のホンコン・チャイナガス(
00003)が下回って引けた。