27日の香港市場は上値の重い展開か。トランプ大統領の発言を受けて前日のNY市場でダウ平均が反発した流れを引き継ぎ買い戻しが入る半面、積極的にリスクを取る動きは限られると予想する。トランプ米大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)で記者団に対し、米中の貿易交渉担当者が電話で協議したことを明らかにし「中国との交渉を再開する。とても大きなことが起きるだろう」と述べた。ただ、これに対して中国外務省の耿爽副報道局長は26日の記者会見で「把握していないし、聞いたことがない」と話した。米中協議に対する根強い先行き不透明感が上値を抑える可能性がある。
過激化する香港の抗議デモや人民元安を受けた中国からの資金流出懸念も引き続き重荷になりそうだ。また、MSCIによるA株の指数組入比率引き上げがきょう大引け後に発効する。これに伴いMSCI中国指数などに占める香港株のウエートが引き下げられることになり、パッシブ運用ファンドの持ち高調整で現在ウエートの大きいテンセント(
00700)など香港上場大型株の売りが強まる可能性があるとの見方が出ている。
26日の香港株の米国預託証券(ADR)は、主力株ではIT大手のテンセント(
00700)、欧州金融大手のHSBC(
00005)、本土銀行大手の中国建設銀行(
00939)、通信キャリアのチャイナ・モバイル(
00941)が香港終値を下回った半面、アジア生保のAIAグループ(
01299)が上回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を約80ポイント下回る水準で寄り付くことになる。
一方、決算発表が佳境を迎え、企業業績を手掛かりとした個別物色が引き続き活発化するだろう。きょうは交通銀行(
03328)、中興通訊(
00763)、中国南方航空(
01055)、中国銀河証券(
06881)などが決算を発表する予定。