12日の香港市場は前日の欧米株安の流れを引き継ぎ、売りが優勢か。貿易問題を巡る米中の報復の応酬がエスカレートするとの懸念から、運用リスクを回避する動きが広がると予想する。両国の高官による通商交渉が決裂したと伝わったことも、投資家心理を冷やすだろう。外電によると、ムニューシン米財務長官やロス商務長官、劉鶴・中国副首相が5月から3度の公式協議を行ったものの、その後は進展しておらず、協議再開の日程も決まっていないという。中国本土の株式相場が大きく下落すれば、香港市場でもハンセン指数が心理的節目の28000ポイントを割り込む展開がありそうだ。
トランプ米政権は10日、中国に対する報復関税の追加措置として、2000億米ドル分の中国からの輸入品に10%の関税を課すと発表した。中国商務部は反撃する方針を明らかにしたものの、米国からの輸入額は年間約1300億米ドルしかないため、同条件の報復関税だけでは対抗しきれない。市場では、中国政府が対抗措置として人民元安に誘導するとの観測が浮上している。ただ、元安が進行すれば資金が中国株式市場から流出する圧力が高まる。人民元の対米ドル相場はすでにオンショア市場とオフショア市場の両方で年初来安値圏にある。
11日のNY株式相場は、米中貿易戦争の激化懸念からダウ平均など主要3指数がそろって5営業日ぶりに反落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、原油先物相場の大幅反落を背景に石油株のCNOOC(
00883)、シノペック(
00386)が下落し、大型金融株のAIAグループ(
01299)や中国工商銀行(
01398)などとともに香港終値を下回った。半面、時価総額が大きいHSBC(
00005)、チャイナ・モバイル(
00941)が上回って引けた。一方、きょうの香港市場では動画中継プラットフォーム運営の映客互娯(
03700)など6銘柄がメインボードに新規上場する。