15日の香港市場は米株安の流れを引き継ぎ、売りが先行か。米国と中国の貿易摩擦の激化を警戒する投資家がリスクオフ姿勢を強めそうだ。『ウォール・ストリート・ジャーナル』電子版は14日、トランプ米政権が中国に対中貿易赤字を1000億米ドル減らすよう求めたと報じた。同日、米国家経済会議(NEC)の次期委員長となるラリー・クドロー氏は米CNBC経済番組に出演し、「中国は通商ルールを守っていない」と述べた。同氏は貿易相手国への一律の輸入制限には反対しているとされるが、対中貿易では強硬姿勢を示した格好だ。13日には輸入額で600億米ドルの中国製品に関税を課す案を米政権が検討中と伝わっており、対象は電子機器や通信機器を中心に幅広い分野に及ぶ可能性がある。
一方、香港では中長期的な先高観が根強く、「貿易戦争への懸念は次第に薄れ、株式相場への衝撃が和らぐ見通し」(香港経済日報)との声が聞かれた。中国本土A株市場が上昇し、テンセント(
00700)などニューエコノミー関連銘柄に買いが入れば、香港市場も底堅く推移する展開があり得る。ハンセン指数は50日移動平均(14日大引け時点で31325.04ポイント)が下値抵抗として意識されそうだ。また、決算や業績見通しを手掛かりとする個別銘柄の物色が引き続き活発だろう。きょうはハンセン指数構成銘柄の太古A(
00019)とチャイナ・ユニコム(
00762)が2017年12月本決算を発表する。
14日のNY市場ではダウ平均とS&P500がともに3日続落。ハイテク株主体のナスダック総合も小幅ながら続落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、テンセントや中国4大商業銀行の中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)、中国銀行(
03988)、香港コングロマリットの長江和記実業(
00001)などが香港終値を下回って引けた。