中国本土A株市場の主要指標、上海総合指数が18日に3700ポイントの大台を突破し、前営業日比0.85%高の3728.03ポイントで取引を終了。終値で15年8月19日以来、10年ぶりの高値を更新した。また、A株市場全体の時価総額はこの日、初めて100兆元を突破。売買代金も2兆7600億元(上海、深セン両市場)と、過去3番目の高水準に達するなど、記録づくめの1日となった。翌19日には利益確定の売りで前日比0.02%安の3727.29ポイントとやや調整したが、18日の相場については「本土市場がブレイクアウトした」との声が強い。
実際、上海総合指数だけでなく、その他指標も軒並み好調。上海総合指数の18日終値は4月7日(米中の関税引き下げ暫定合意の数日前)の取引時間中の安値水準である3040ポイント比で22%高だが、深セン成分指数は30%高、上海創業板指数は47%高を記録している。外部の不安材料の後退などから、この先の相場に関しても緩やかな上昇基調が続くとの見方が優勢。この先中期的には、15年8月に記録した約4000ポイントの高値回復が目標となりそうだ。
◆政策期待続く、習主席が「民営経済振興策」表明
現在の強気相場の背景にあるのは、米中摩擦の緩和のほかに、自国の政策期待。習近平国家主席が中国共産党機関紙『求是』(16日付)に、「民営経済の健全な発展と質の高い発展を促進する」と題した重要方針を掲載。民営経済振興策の実行を指示したことが投資心理の改善に寄与した。ほかに中国人民銀行が4−6月期の報告で、今後はマクロ調整の柔軟性と予見性を強め、雇用、企業、市場、期待の安定に注力するとしたことも投資家のマインドを上向かせたもよう。
銀河証券によれば、7月30日の共産党中央政治局会議で、10月に第20期4中全会(第4回全体会議)を開催し、この場で「第15次5カ年計画」の策定を討議する方針を決定したことも一因。同証券は「市場の政策期待はこの先段階的に高まる」との見方だ。
◆個人マネーが株式投資にシフト、相場上昇で「資産効果」期待も
一方、HSBCによれば、本土A株だけでなく、香港やその他域外上場株を含め、中国株のパフォーマンスは6月以来総じて好調。◇公募ファンドの活況、◇個人投資家の積極的な参加(8月の信用取引残高は2兆元を突破)、◇保険資金の株式運用比率の拡大、◇4月上旬からETF(上場投資信託)を通じて相場を下支えしてきた「国家隊」(政府系ファンドや国有金融機関)の存在――による流動性の高まりが理由という。
中でもここに来て注目されているのが、個人投資家の動きだ。銀河証券は個人マネーの金融資産への再配分が明らかに進み始めたと指摘している。実際、中国人民銀行の最新データによると、7月には住民の銀行預金が縮小する半面、非銀行預金は2兆1000億元の純増。前年同期を1兆3900億元上回る規模に達し、市民が預金を株式投資に振り向け始めたことを強く示唆したという。華宝証券は市場のセンチメントは非常に強く、「預金の証券口座への“引っ越し”」は今後さらに加速するとの見方だ。結果的にプラスの資産効果(株式や不動産など資産価格の変動が、個人消費や経済活動に影響する現象)が顕在化するとみる。
A株相場の先行きに対しては強気一辺倒というわけでもなく、「過去10年間に何度も起きた相場急落」の経験に加え、企業業績の本格回復や景気の好転が見通せないなどの理由で、慎重見通しも残る。ただ、米中摩擦の緩和や地政学リスクの後退、米利下げ観測、国内の政策期待などは支援材料。また、上海総合指数構成銘柄の予想増益率が25年、26年に前年比23%増、11%増(ブルームバーグの市場コンセンサス予想)と、過去2年間の減益から反転上昇するとみられることもプラス。構成銘柄の現バリュエーションに割高感はなく、25年、26年の予想PERは14.3倍、12.8倍と、過去13年の平均値(約15倍)以下にとどまっている。
◆香港市場では本土証券・保険・A株ETFなどの「A株テーマ株」に注目
一方、香港株式市場にとっても、本土A株市場の上昇はプラスとなる可能性が高い。このところの本土相場の好調にもかかわらず、AH価格差は現在20年来の低水準にあり、本土株の上昇が香港株の上昇を一部牽引するとみられることが理由だ。
A株の騰勢を追い風とする香港の3大テーマ株は、本土の「証券」「保険」セクターと、「A株ETF(上場投資信託)」。証券銘柄にとって、A株の活況は委託売買業務の収益増要因であり、信用取引業務や自己勘定取引にも有利。一方の保険にとっても株高は運用収益の拡大につながる。『香港経済日報』は証券の中信証券(
06030)と中国国際金融(
03908)、保険の新華人寿保険(
01336)を有望視。A株ETFでは売買が活発なCSOP FTSEチャイナA50ETF(
02822)、iシェアーズFTSE チャイナA50ETF(
02823)に注目している。