先週末の本土・香港市場では、半導体の国産化が加速するとの期待から、関連銘柄が一斉に急伸する展開となった。米エヌビディア製の中国向けAI半導体(AIアクセラレータ)「H20」について、中国側が排除の意向を示したことが背景。トランプ米政権は7月、3カ月前に発効させたH20の対中輸出規制を見直し、条件付きながらも輸出を認めたが、中国政府側はセキュリティー上の疑義を表明し、国内企業に対し、H20の使用を見合わせるよう要求。これにより、マーケットでは国産半導体に対する一段の政策支援と、それに伴う国内業界の成長期待が高まった。
また、中国製の高度AIモデルで世界を驚かせたDeepSeek(深度求索)社が100%国内開発・製造という新たなAIチップを発売する予定を明らかにしたことも、国産半導体の発展期待を後押した要因。先週末22日の本土A株市場では半導体メーカー海光信息技術(688041)と中科寒武紀科技(688256)がストップ高を付けるとともに、上場来高値を更新したが、香港株式市場では上海市政府系のファウンドリー華虹半導体(
01347/688347)が前日比17.9%高を記録。ファブレスのソロモン・システック(
02878)が10.6%高、国内のファウンドリー最大手SMIC(
00981/688981)が10.1%高と続いた。
『香港経済日報』は現在の半導体銘柄の急伸について、業績見通しやファンダメンタルズとは関係なく、純粋に「国産品への代替」と「政策支援」に起因すると指摘。個別ではSMICのほか、半導体製造装置の世界大手ASMPT(
00522)、ブラシレスDC (BLDC) モーター駆動制御チップに特化したフォーティオ(
01304)を有力銘柄としてピックアップしている。
◆ファウンドリー最大手SMICが圧倒的な存在感、国策恩恵度で首位
「半導体の国産化」は中国政府の悲願であり、当局は大型の基金創設や税制優遇措置を通じて国内産業の発展を全力でバックアップしている。従って、投資先の銘柄を選ぶ場合、まず重視されるのが政策による恩恵の度合い。実際、業績見通しではなく、政策的な位置付けが重要であるほど、当該企業の評価が高くなる傾向が鮮明だ。
まず半導体産業チェーンを見ると、上流企業(設計や装置設備・材料など)の代表格はASMPTであり、中流(主にウエハー製造)の有力企業はファウンドリーのSMIC、華虹半導体。前者は主に先進プロセス、後者は成熟プロセスを手掛ける。前出のフォーティオや、ICなどの販売を手掛ける芯智控股(
02166)はチェーンの下流(パッケージングや応用)に位置する。
このうち、中流のファウンドリー最大手SMICが、政策の恩恵度という点で明らかに有利となる。『香港経済日報』によると、SMICは業界最強の国策銘柄であり、半導体業界の「第1陣」とも言える存在。中国の先進プロセスにおける絶対的リーダーとして、国産半導体の技術的な突破のカギを握る同社は、戦略的地位の点から代替不可能。SMIC以外では、華虹半導体と上海復旦微電子(
01385)などがこの第1陣に含まれるという。
これに続く、政策恩恵度の「第2陣」と言えるのは。先進装置および技術ソリューションを手掛けるASMPT。同社はパッケージング措置で世界シェア首位を誇り、中国の半導体産業の発展おいて不可欠な存在。ほかに英諾賽科(
02577)や中国電子華大科技(
00085)がこのグループに属するという。
以下、「第3陣」は国産品への代替がプラスとなるフォーティオなど。同社は半導体メモリのパッケージング・テストの国内生産化による恩恵を得ている。最後の「第4陣」は、ディスクリート半導体メーカー脳洞科技(
02203)、集積回路(IC)を含む電子部品の販売会社、硬蛋創新(
00400)など。政策の恩恵という点ではかなり弱いグループとなる。
◆上流のASMPTや下流のフォーティアも注目銘柄
個別の香港上場銘柄を見ると、“北水”こと本土資金の流入が鮮明なSMICがやはり最有力。年初から8月21日までの買い越しが237億元を超える規模に達した。先週末の急伸もあり、同社株価の先週末22日終値は56.9HKドルと、すでに証券各社が設定した目標株価の大半を上回ったが、直近ではHSBCグローバルリサーチが目標株価を64HKドルから68HKドルへさらに引き上げ、「買い」の投資判断を継続している。
また、ASMPTに対しては、中銀国際、シティグループがそれぞれ、目標株価を80HKドル、85HKドルに設定し、「買い」推奨を維持した。このほか、7月に上場したばかりのフォーティアにとっては半導体ストレージ産業の発展と、パッケージングおよびテストの国産化需要の高まりが追い風であり、同紙はまずは210HKドル到達が視野に入ったと指摘。173HKドル周辺での買いを推奨している。