10月の招福銘柄は、中国政府による政策支援の恩恵を受ける銘柄を中心に選んだ。証券取引の増加や運用成績の改善などで、証券銘柄の中信証券(
06030)、保険銘柄の中国平安保険(
02318)は直接的な恩恵を受けるとみられる。不動産業界でも規制緩和や各種支援策が打ち出されており、華潤置地(
01109)など不動産デベロッパーにとっては追い風といえる。一方、相場全体が大きく上昇するなか、出遅れ気味の瑞声科技(
02018)、業績見通しが良好なパソコン大手のレノボグループ(
00992)を選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■レノボグループ(00992):業績見通し良好、9月の中間決算では増収増益へ
株価:10.60HKドル(9/30終値)
【パソコンの世界最大手】中国政府の景気対策を受けて香港市場で株価が急騰したが、中国経済の本格回復にはなお時間を要するとの観点で世界市場に製品を販売する銘柄として選んだ。調査会社のIDCによると、24年4−6月のパソコンの世界市場シェアは22.7%で首位を維持。人工知能(AI)機能の普及でパソコンでもハイスペックが求められ、買い替えにつながりやすい点も追い風になり得る。業績見通しも良好で、ファクトセットの市場予想では24年9月中間決算は売上高が前年同期比15%増の315億100万米ドル、純利益が37%増の5億8200万米ドル。利下げで米ドル安が進めば、業績に有利に働く見通し。
■華潤置地(01109):政策支援が追い風、広州は規制を全撤廃
株価:28.65HKドル(9/30終値)
【中国政府系不動産デベロッパー】中国の中央政府や地方政府による政策支援が相次いでいることが追い風。中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝行長が9月下旬に既存の住宅ローン金利を引き下げ、住宅ローン頭金の最低比率基準を統一すると表明した後、9月末に4大国有銀行が10月末までに既存住宅ローンの金利を引き下げる方針を発表。また、上海、広州、深センといった大都市も相次いで不動産購入規制を緩和しており、うち、広州市は「1線都市」で初めて住宅購入規制の全撤廃に踏み切った。華潤置地は国務院系の華潤グループの傘下企業とあって財務基盤も安定しており、今後、販売を伸ばすと期待される。
■瑞声科技(02018):9月の株価騰落率は3.8%安、出遅れ銘柄として着目
株価:31.90HKドル(9/30終値)
【スマホ部品メーカー】中国政府の各種景気対策の発表を受けて相場が上昇するなか、出遅れ銘柄として選んだ。9月にハンセン指数は17.5%高と大幅に上昇したものの、瑞声科技の株価騰落率は3.8%安にとどまっており、キャッチアップの動きが期待される。9月はiPhone 16の販売が低調との報道で株価が下げる場面もあったが、足元の業績は順調に回復。ファクトセットのコンセンサス予想では24年本決算で純利益が倍増するとみられている。経営陣が24年下期の売り上げ成長と利益率の改善にポジティブな見方を示しており、出遅れ銘柄として株価の上昇に期待したい。
■中国平安保険(02318): 中国株式相場の上昇で業績改善の見通し
株価:50.15HKドル(9/30終値)
【総合金融サービスグループ】中国の株式相場の上昇に伴い、業績改善を見込む買いが入りそうだ。中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝行長は9月24日、預金準備率や主要な政策金利の引き下げ見通しを明らかにした。さらに、上場企業の自社株買いや大株主の保有株買い増し向けに特化した再貸出制度を創設するなど、資本市場支援策を明らかにした。投資収益が拡大するとの思惑から保険株が買いを集め、9月末時点の中国平安保険の株価は23年8月以来の高値水準に達した。ただ、23年1月27日に付けた高値(65.10HKドル)までは差があり、さらなる上昇余地が
■中信証券(06030):資本市場支援策が追い風、調整は押し目買いのチャンスか
株価:20.55HKドル(9/30終値)
【中国の証券最大手】中国当局が打ち出した景気対策パッケージが追い風になりそうだ。資本市場の支援策として、証券会社やファンド、保険会社向けのスワップ制度と自社株買い・株式買い増し専用の再貸付制度が導入されることによって第1弾で約8000億元の資金が株式市場に流入することが見込まれている。投資マインドの向上と売買代金の増加で直接的に恩恵を受けるほか、証券株など相場の上昇局面では株価が市場全体の動きに敏感な高ベータ値銘柄が買われやすい。9月末の急騰でいったんの利益確定売りも予想されるが、相場が本格的な反転上昇に移った場合は押し目買いのチャンスになる可能性がある。