9月の招福銘柄は、9月末から始まる中秋節と国慶節の関連銘柄、株式市場の活性化措置の恩恵銘柄を中心に選んだ。まずは中秋節と国慶節の関連銘柄としては、復調が続くマカオカジノ銘柄のサンズ・チャイナ(
01928)、中間業績が黒字に転換した火鍋銘柄の海底撈国際(
06862)をピックアップ。市場活性化措置の恩恵銘柄としては、中国の証券最大手の中信証券(
06030)、取引所運営の香港証券取引所(
00388)を選択した。このほか、経済の先行きに不透明感が漂うなか、安定した業績と低バリュエーションの中国建築国際(
03311)に着目した。今月はこの5銘柄に注目したい。
■香港証券取引所(00388):印紙税引き下げ期待などで株価堅調か
株価:304HKドル(8/31終値)
【香港証券取引所を運営】印紙税引き下げなど株式市場の活性化措置への期待が買いを支えそうだ。中国本土で株式取引にかかる印紙税が15年ぶりに引き下げられたことを受け、香港でも印紙税引き下げの期待が高まっている。香港政府は8月末に株式市場の流動性を高めるため、特別チームを設置した。チームは流動性に影響する要因を全面的に調査し、行政長官に改善提言を行う。メディア報道によると、李家超行政長官は短期措置と長期措置を含め、施政報告を行う前に提言がほしいと明言。足元で香港証券取引所の株価が300HKドルの大台を回復したが、期待を支えに10月中旬の施政報告までは引き続き堅調に推移する可能性がある。
■サンズ・チャイナ(01928):中秋節・国慶節の8連休でカジノ収入増加に期待
株価:26.55HKドル(8/31終値)
【米サンズ社のマカオ子会社】10月の中秋節・国慶節連休を控え、業績拡大への期待が高まりやすいことを踏まえて選んだ。マカオのカジノ収入はコロナ禍を脱して回復が続いており、7月にはコロナ前の7割超の水準まで回復。8月に発表した6月中間決算は黒字転換を実現しており、23年通期でも4年ぶりの黒字転換が見込まれている。今年の中国の中秋節・国慶節の連休は9月29日から10月6日の8連休と例年よりも1日長くなる。株価は8月に11%安と調整したが、連休が近づくにつれて関連報道が増え、業績への期待が高まれば株価にとっても追い風となりそうだ。
■中国建築国際(03311):経済の先行きに不透明感、業績の安定感が強み
株価:8.73HKドル(8/31終値)
【香港の総合建設大手】中国の経済情勢や米国の金融政策などの先行きに不透明感が残る中、業績の安定感を背景に大崩れしないと予想する。8月下旬に発表した23年6月中間決算は純利益が前年同期比15.1%増の48億4900万HKドル。中間決算での増益はこれで19年連続と抜群の安定感を誇る。上期の新規受注額は7.0%増の968億2000万HKドル、6月末の受注残は16.2%増と先行きの不安は小さい。市場予想では23年12月本決算の純利益が前年比15.1%増の91億6200万HKドルで最高益の更新が見込まれる。23年予想PERは4.9倍にとどまり、バリュエーションの面でも割安感が意識されそうだ。
■中信証券(06030):資本市場の活性化措置が追い風
株価:15.36HKドル(8/31終値)
【中国の証券最大手】中国当局がA株市場の支援策を受け打ち出すなか、証券業界の最大手として買いを集めると予想する。中国指導部が7月に「資本市場を活性化させ、投資家の信認を高める」方針を決めたことを受け、株式取引の印紙税率の半減、信用取引の保証金率引き下げ、証券取引所の手数料引き下げなどが8月までに発表された。中国証券監督管理委員会(CSRC)は18日、A株市場に投じられる中長期資金を増やすため、複数部局と協力すると表明しており、中国本土の証券会社の業容拡大につながるだろう。株価は7月に年初来安値を付けた後、次第に下値を切り上げており、買いの好機となりそうだ。
■海底撈国際(06862):中秋節・国慶節で外食機会増加、中間決算は黒字転換
株価:21.35HKドル(8/31終値)
【中国の火鍋料理チェーン】中国では9月下旬に中秋節、10月初旬に国慶節が控えており、家族や友人と外食の機会が増えることが材料。中国政府は経済成長に向けて消費の回復を最優先させる方針を明らかにしており、外食産業全体にとって追い風となる見通し。23年6月中間決算は売上高(継続事業のみ)が前年同期比24.6%増の188億8600万元、純損益が22億5800万元の黒字(前年同期は2億6600万元の赤字)となり、会社側が事前に示していた見通し通りの結果となった。今後はテーブル回転率の上昇や店舗網の拡張などを受けて一段の業績拡大に期待がかかりそうだ。