3月の招福銘柄は、ゼロコロナ政策終了で業績回復が期待される銘柄を中心に選んだ。海南島を訪れる旅行客の増加が見込まれる海南美蘭国際空港(
00357)に加え、スポーツ用品銘柄の安踏体育用品(
02020)、バドワイザーAPAC(
01876)も関連消費の回復が期待される銘柄といえる。このほか、米中対立激化を受けて軍需関連の中船防務(
00317)、米利上げ継続で利ざや拡大が期待される中銀香港(
02388)にも着目。今月はこの5銘柄に注目したい。
■中船防務(00317):米中対立で軍需関連に買いか、23年の国防予算にも注目
株価:7.73HKドル(2/28終値)
【中国船舶集団の造船業子会社】ウクライナ問題などを巡り米中対立の激化が警戒されるなか、軍需関連銘柄の買いにつながる可能性がある。同社は中国の核心軍需生産企業の1社で小型軍艦、フィーダーコンテナ船、特殊船などを生産するほか、海上防衛設備や海洋開発設備を手掛け、国防と密接な関係を持つ。3月に開かれる「全人代」(全国人民代表大会)で発表される23年の国防予算も支援材料になりそうだ。世界中で軍備拡張の動きが加速するなか、中国も国防予算を一層積み増す可能性が高いとみられる。業績面では、23年以降は高額の船舶の引き渡しが始まる予定で、設備稼働率の上昇によるスケールメリットが期待される。
■海南美蘭国際空港(00357):利用客増加で業績回復に期待高まる
株価:19.32HKドル(2/28終値)
【海口美蘭国際空港の運営会社】 3月に発表予定の22年12月本決算は新型コロナや空港拡張工事による減価償却費の増額で赤字が見込まれるものの、ゼロコロナ政策解除による旅行客の増加が追い風になりそうだ。1月の利用客は旧正月連休の影響もあって前年同月比で27%増加。11カ月ぶりにプラス成長に転じ、コロナ前に近い水準まで回復してきた。第2ターミナルの供用開始で海口−バンコク線など国際線の運航も再開。株価は2月に2割近く下落するなど大きく調整したが、海南省を国際的な商業のハブとする計画や離島免税政策の規模拡大による恩恵も期待される。
■バドワイザーAPAC(01876):ゼロコロナ終了やWBC開幕で販売増に期待
株価:23.50HKドル(2/28終値)
【ABインベブのアジア事業会社】中国では昨年12月に3年近く続いたゼロコロナ政策が終了したことを受けて外食産業などが急速に持ち直しており、ビールの販売も回復すると見込まれている。また、3月5日に開幕する全国人民代表大会では、消費回復に向けた支援策などがテーマになるとみられていることも支援材料。一方、8日からはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が始まる予定で、中国や日本、韓国など同社がカバーする地域全体でビール需要が高まると期待される。中国は9日に1次ラウンド初戦で日本代表と戦う。
■安踏体育用品(02020):ゼロコロナ解除でスポーツ用品需要が回復へ
株価:103.40HKドル(2/28終値)
【中国のスポーツ用品大手】暖かくなるに連れて運動する機会も増え、スポーツ用品の需要が回復すると予想する。特にゼロコロナ政策が解除された後に迎える久しぶりの春だけに外出の機会が増えれば普段使いのスニーカーやウエアの販売が伸びるとの連想も働きやすい。業績の市場予想では22年12月本決算の純利益が前年比5.7%減の72億8200万元と善戦。23年12月本決算の純利益が94億5900万元に達し、最高益を大幅に更新する見込み。また、今年9月には杭州でアジア大会が開催される予定で、中国チームにウエアなどを提供する安踏体育用品への注目が高まるとみられる。
■中銀香港(02388):米利上げ長期化で純金利マージン拡大の思惑買い
株価:26.55HKドル(2/28終値)
【中国銀行の香港子会社】米連邦準備理事会(FRB)による利上げが長期化するとの観測が強まるなか、業績拡大を見込む買いが入りそうだ。すでに22年12月本決算を発表したHSBC(
00005)とスタンダード・チャータード(
02888)の純金利マージン(NIM)がともに市場予想から上振れたことで、中銀香港のNIM改善期待も高まっている。中国本土と香港の間の渡航制限が全面解除されたことも追い風。粤港澳大湾区の営業拠点網が充実しており、クロスボーダー取引の活性化が業績を押し上げる要因になるだろう。株価は今年に入って上値の重さが目立つものの、中国政府の新たな景気下支え策が買い材料になりそうだ。