1月の招福銘柄は、業績回復期待の高い銘柄を中心に選んだ。新型コロナで大打撃を受けた航空セクターからは国内線が回復してきている中国南方航空(
01055)をピックアップ。スマホ部品メーカーの瑞声科技(
02018)とセメントメーカーの中国建材(
03323)も業績回復への期待が高い。このほか、株価の一段高を期待して安踏体育用品(
02020)、独禁法違反の疑いなどで株価が急落したアリババ集団(
09988)は押し目を期待して選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■中国南方航空(01055):国内線の旅客数が復調、旧正月前の移動に期待
株価:4.62HKドル(12/31終値)
【広州市に拠点を置く航空大手】国内線の旅客数の復調を背景に21年12月期の業績回復への期待が高まると予想する。ファクトセットの市場コンセンサス予想では20年12月本決算の純損益は86億1800万元の赤字だが、新型コロナの影響が和らぐ21年12月期には42億9600万元の黒字に転換する見通し。業務実績では20年11月の旅客数が前年同月比14.4%減の1067万3000人で、国内線に限れば0.7%減とほぼ横ばいの水準にまで回復した。また、1月は例年、航空株が上昇する時期で、コロナの影響を受けた20年を除けば過去5年間の戦績は4勝1敗。2月の旧正月を前に人の移動が活発化すれば物色されやすいとみる。
■瑞声科技(02018):21年に業績回と予想、光学事業の分離上場方針も支援材料
株価:43.4HKドル(12/31終値)
【スマホ部品メーカー】21年の業績回復を見込んだ買いが集まると予想する。中国政府の内需刺激策を背景に国内スマホ出荷が伸び、同社の主力製品であるレンズモジュールの需要が高性能品を中心に拡大しそうだ。先月23日に発表した光学事業子会社を中国本土市場で分離上場する方針も、将来の成長に向けた布石として評価できる。分離上場で得た資金は、高性能なウエハーレベルガラス(WLG)ハイブリッドレンズの量産に投じる見通し。株価は10月以降、狭いレンジで推移しており、41HKドル付近では下値が堅い。5G通信網の拡大やスマホメーカーによる新機種の発表が株価を押し上げる材料になると期待する。
■安踏体育用品(02020):政策期待や健康志向の高まりで株価は一段高も
株価:122.9HKドル(12/31終値)
【中国のスポーツ用品大手】新5カ年計画(2021−25年)で政策による恩恵が期待できる内需関連に注目した。世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、中国はいち早く抑え込みに成功。コロナ禍で市民の健康志向も高まっており、スポーツシューズやスポーツウエアの需要は高いとみる。来年2月には北京で中国初の冬季五輪が開催される予定で、各種スポーツイベントの開催なども追い風となりそうだ。株価はハンセン指数への採用などもあり、連日で上場来高値を更新するなど高くなっているが、証券各社は引き続き強気見通しを示しており、一段の上昇に期待したい。
■中国建材(03323):コロナ禍から業績回復、割安感に着目した買いに期待
株価:9.32HKドル(12/31終値)
【セメント世界最大手】業績が順調に回復するなか、株価の出遅れ感に着目した。直近の20年1−9月期決算は12%増益と新型コロナの影響が直撃した6月中間決算の6%減益から2桁成長を回復。年初から下落が続いていたセメント価格も8月以降は底打ち反転し、収益環境も下期に入って改善が進んでいる。20年12月本決算についてはファクトセットのコンセンサス予想で37%の増益が見込まれているが、株価は足元で軟調に推移しており、直近8月の高値からは3割以上も下落。20年予想PERは5倍程度と割安な水準にあり、割安感に着目した買いに期待したい。
■アリババ集団(09988):政策リスクで株価急落、押し目買いのチャンスか
株価:232.6HKドル(12/31終値)
【中国のネット通販最大手】政策リスクを意識して11月に株価が急落する場面もあったが、押し目買いのチャンスとみる。同社傘下の金融会社、アント・グループの上場延期を皮切りに、独占禁止違反の調査など、同社が標的とも言える当局によるネット企業への引き締めで逆風が強まった。一方、政府系メディアは「プラットフォーム経済を推進・支援する当局のスタンスは変わっていない」とも強調している。当局との間に歩み寄りがみられれば、株価が反発する可能性は高いだろう。足元ではアントが当局の指示に従い金融事業の持ち株会社を設立すると報じられるなど、事態の打開に向けた動きも出ている。