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2016-03-25 中国/セクター/建材
ガラスセクター:余剰生産の是正や需要改善が追い風、業況回復トレンド持続へ
 中国国内では昨年、フロートガラス価格の底入れでガラス業況がひとまず改善傾向に転じたが、市場では今後も回復基調が続くか懐疑的な見方が根強い。ただ、旧式設備の淘汰を通じて余剰設備の解消が進んでいることや都市部住宅市況の回復などはセクター全体の追い風。『香港経済日報』はこのほか、燃料価格の下落によるコスト低減などをプラス要因に挙げ、特に国内のフロートガラス最大手、信義ガラス(00868)に対して強気見通しを示している。

 15年に中国のフロートガラス相場の底入れを支えた要因の一つは、環境保護規定の厳格化を背景に旧式設備の閉鎖が進んだこと。これにより、生産ラインの増加ペースが減速し、過剰設備問題の是正が進んだ。中国銀河交際によれば、国内のフロートガラス実質生産能力は15年に前年比3.5%減。16年にはさらに同3.7%減少し、17年も同6.1%の幅で縮小する見通しという。ちなみにフロートガラスとは現在主流となっている板ガラス製法で、溶けたスズを満たしたフロートバスに溶融ガラスを流し込んで平滑なガラスを作る。建築用、自動車用ガラスのほとんどがこのタイプであり、不動産市場や新車市場の堅調が需要底上げに寄与することになる。



◆住宅/新車需要が堅調、天然ガス価格値下げもプラス

 JPモルガンによれば、フロートガラス業況は15年に過去3年間の低迷から抜け出し、限界利益率が回復傾向に転じたが、これは主に生産コストの軽減と過剰設備の改善、一部製品需要の安定化によるもので、建設需要は依然低調だったという。ただ、主要都市部の住宅市況の回復トレンドはここ数カ月かなり鮮明。在庫増大を受けて低迷していた不動産開発投資も16年に入ってようやく下げ止まり、この先の投資状況の改善が期待される状況となった。

 また、国内の新車需要も引き続き底堅く推移する可能性が高い。中国汽車工業協会の最新統計を見ると、1−2月の新車販売は前年同期比4.4%増の409万台と、やや勢いを欠いたが、1600cc以下を対象とした小型車減税(15年10月1日−16年12月31日の期間限定)や新エネルギー車普及促進策が新車需要の上乗せに寄与する見込み。同協会は16年通年の新車販売について、前年比6%増の2604万台を予想している(うち乗用車は7.8%増の2276万台)。クレディスイスによれば、乗用車販売は16年、17年に前年比7.5%、15%伸びが期待できるという。

 一方、コスト面では主に天然ガス価格の引き下げがプラスとなる。BOAメリルリンチによれば、国内の天然ガス価格は15年第4四半期だけで30%低下。特にガス・重油コストのウエートが大きい福耀ガラス(03606/600660)に対する恩恵が大きく、16年、17年に計7億4500万元規模のコスト削減が見込めるという。BOAメリルリンチは天然ガス値下げを理由に、同社の16年、17年の予想EPSを9.4%、9.2%増額修正し、それぞれ1.4元、1.54元に設定している。

◆最大手の信義ガラスが業績好調、5−10%の値上げを予想

 香港上場のガラス銘柄は、フロートガラスの国内最大手である信義ガラス、自動車用ガラスの最大手である福耀ガラス、さらに洛陽ガラス(01108/600876)、中国ガラス(03300)など。深センAB株銘柄には中国南玻集団(200012/000012)がある。業界統廃合の進行や余剰設備の是正は基本的に大手にプラス。信義ガラスの15年本決算は、供給過剰感の後退による粗利益率の改善で(25.2%→27.3%)、前年比55%の増益となった。

 同社経営陣は決算会見の席で、余剰生産問題の一段の是正を見込むとともに、フロートガラス需要を楽観。16年中に5−10%の価格上昇が見込めるとした。需要面では海外市場での交換用自動車ガラスの需要増も追い風となる見通しという。また、フロートガラスの生産コストの30−40%を占める天然ガスの価格低下も、16年の利益底上げに寄与するとみている。『香港経済日報』は同社をガラスセクターの最有力銘柄とし、その理由として財務の健全性やM&Aの可能性、業界統廃合による恩恵、現在株価の低バリュエーションなどを挙げた。

 一方、福耀ガラスは自動車用を主力とするため、不動産市況の回復による恩恵を受けにくいが、同社に対してはドイツ銀行が強気。今月初めに発表した政策恩恵銘柄リストに掲載し、目標株価25HKドルで「買い」推奨を付与した。このほか、洛陽ガラスは15年6月中間期の赤字から一転、通期純利益が前年実績の6.8倍を記録したが、これは資産再編効果によるもの。期末配当の実施を見送った経緯もあり、同社のファンダメンタルズについてはこの先の見極めが必要となりそうだ。

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