中国政府系の旅行会社、チャイナトラベル・ホンコン(
00308)は12日、観光不動産事業を現物配当の形で株主に分配する計画を発表した。「一流観光地の投資・運営サービス事業者」を目指す経営戦略の下、経営資源を集約して競争力と収益力の向上を図るとした。
計画では、観光不動産事業を再編し、全額出資で新設した非上場子会社「中旅康養度假控股有限公司」(プライベートカンパニー)に保有させ、「プライベートカンパニーグループ」を設立する。その上でプライベートカンパニーグループの株式を基準日(2025年11月21日)時点の株主名簿に記載された株主に分配する。分配比率はチャイナトラベル・ホンコン株1株に対し中旅康養度假控股(プライベートカンパニー)株1株。現金による配当のオプションを選択した株主には、チャイナトラベル・ホンコン株1株に対し0.336HKドル(10日終値の1.53HKドルの21.96%相当)を支払う。
チャイナトラベル・ホンコンは臨時株主総会を開いて計画の承認を求める。分配を希望しない株主は、権利付き最終取引日(2025年11月17日の見込み)までに株式を売却することができる(最終的な日程は後日送付する通知に記載)。
分配が完了すると、プライベートカンパニーグループはチャイナトラベル・ホンコンの親会社である中国旅遊集団および現物配当を選択した株主が保有する企業となり、チャイナトラベル・ホンコンの子会社ではなくなる。
分離対象の観光不動産事業には、広東省の「珠海海泉湾リゾートプロジェクト」、陝西省の「咸陽海泉湾リゾートプロジェクト」、浙江省の「安吉リゾートプロジェクト」、広東省深セン市で商業複合施設を開発する「大空港プロジェクト」、四川省成都市に開発用地を持つ「金堂プロジェクト」の5プロジェクトが含まれる。一方、チャイナトラベル・ホンコンは引き続き、テーマパークや景勝地などの観光地運営、ビザ業務、ホテル事業、バスやフェリーなどの旅客輸送などを手掛ける。
また、チャイナトラベル・ホンコン取締役会は同社の資本金を現在の92億2200万HKドルから7億2200万HKドルに縮小する減資を提案した。減資分の85億HKドルを内部留保(利益剰余金)に振り替え、配当に充てることが可能な準備金とする。