BofAセキュリティーズ(BofAS)は最新リポートで、中国発の大規模言語モデル「DeepSeek(ディープシーク)」の登場がソフトウエア、データセンター、パブリッククラウド、先端人工知能(AI)の4つのサプライチェーンにポジティブな影響を与えるとの見方を示した。『AAストックス』が3日伝えた。
BofASはソフトウエアに関し、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)方式のソフトウエア企業が受ける恩恵がより大きいと指摘。既存のソフトウエアをベースにAI機能を組み入れることや新たなAI製品を投入することができることを理由に挙げた。個別ではキングソフト(
03888)と金蝶国際ソフト(
00268)を選好。投資判断をともに「買い」とし、目標株価はキングソフトが45HKドル、金蝶国際ソフトが12HKドルに設定した。
データセンターに関し、2025年の売り上げは手持ち受注が大部分を占めるため、ファンダメンタルズへの短期的な影響は限られるものの、長期的にはAIのより幅広い応用で需要の先行きに楽観的な見方を示した。また、大規模モデルの推論効率の向上を受けて、AI関連の受注はモデルトレーニングからモデル推論にシフトする可能性があるとした。
パブリッククラウドの先行きも楽観視。産業での応用の拡大にともないモデル推論の分野でAIクラウドコンピューティングの需要が増えると予想。DeepSeekの成功により、小規模モデルのトレーニング需要が増加するほか、MaaS(モデル・アズ・ア・サービス)が新たな成長の原動力になるとみている。
半導体分野では、DeepSeekなどの大規模言語モデルの登場で推論コストの低下とAIモデルの小型化が進み、AIメガネやAIイヤホンなどエッジAIデバイスの開発が加速すると予想。そのため、システムオンチップ(SoC)やAIアクセラレータなどのサプライヤーが恩恵を受けるとの見方を示した。AI半導体市場では、欧米による輸出規制を受けて国内でAI半導体が不足するなか、中国のサプライヤーにとってプラスに働くとした。