2025-01-10 |
中国/政策/金融 |
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人民銀、国債買い入れ停止 市場は利下げ先送りを懸念
中国人民銀行(中央銀行)は10日、公開市場での国債買い入れオペを2025年1月から暫定停止すると発表した。「政府債券市場で供給が需要に追い付いていない」と説明し、今後は国債市場の需給状況を注視し、時機を見て再開すると述べた。
『香港経済日報』によると、業界関係者は、人民元相場に下押し圧力がかかるなか、人民銀が国債買い入れ停止によって、為替レートの安定と債券利回りの低下に歯止めをかける一石二鳥の効果を狙ったとの見方を示した。また、人民銀は金融政策の基調を緩和的に維持しているが、最近ではその緩和の度合いがやや抑制されていると指摘。しかしトランプ米大統領の再登板後は中国が新たな貿易摩擦に直面する公算が大きく、人民銀が適切なタイミングで預金準備率を引き下げるとみている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行の中国市場エコノミスト、ケイ兆鵬氏は「人民銀が国債を購入しないことは、利下げの先送りを意味する。ただ、預金準備率引き下げの可能性は残っており、利下げよりも預金準備率引き下げの方が貿易戦争に対応する良い手段だ」と述べた。
保銀資本管理公司の総裁兼首席エコノミストの張智威氏は、「人民銀の公告は、最近の債券利回りの低下に対する懸念を示している。中国と米国の10年物国債の実質利回り差が拡大して人民元相場に圧力がかかっている。公告は、中国の債券利回りがこれ以上低下して為替レートにさらなる圧力を与えることを望まないというメッセージだ」と語った。