英紙『フィナンシャル・タイムズ』電子版は2日、消息筋の話として、メルコ・インターナショナル(
00200)の米上場子会社メルコ・リゾーツ&エンターテインメント(MLCO)が本社を香港からマカオに移転することを検討していると伝えた。米当局による上場廃止の回避が目的とみられる。
米国証券取引委員会(SEC)は「外国企業説明責任法(HFCAA)」に基づき、当局による監査状況の検査を3年連続で受け入れない企業の上場を廃止すると警告し、これまでに150社超を上場廃止警告の確定リストに収載した。メルコ・リゾーツ&エンターテインメントは今年5月、同リストに追加されており、米国と中国の交渉により監査問題が解決しなければ2024年に米ナスダックでの上場が廃止される見通し。
監査法人の検査を担う米国公開会社会計監督委員会(PCAOB)は2021年、中国本土と香港の企業が監査規則を順守していないと指摘したが、マカオには言及していない。したがって、PCAOBの関係者によると、マカオの企業が中国本土や香港以外の監査法人を起用すれば、理論的には上場廃止に追い込まれずに済む。メルコ・リゾーツ&エンターテインメントの関係者は「この手法を検討している会社が数社ある。ただし、指導部の人が見解を示すまでは誰も動かないだろう」と述べ、中国の習近平国家主席の了解が必要になるとの見方を示した。
中国は安全保障上のリスクを理由に、自国の企業や会計事務所が監査資料を外国の当局に向けて開示することを以前から拒んでいる。中国政府がマカオを拠点とする企業の監査資料について、海外当局の検査を認めるかは不透明だ。
メルコ・リゾーツ&エンターテインメントの監査は2017年以降、アーンスト&ヤング香港が務めている。メルコ・リゾーツ&エンターテインメントはコメントを控えている。