インドの新型コロナウイルスの感染が急拡大したことを受け、香港株式市場でワクチンメーカー銘柄が改めて注目されている。新型コロナ用ワクチンの主要な生産国であるインドが国内向けの確保を優先し、世界的なワクチン需給がひっ迫するとの見方だ。『香港経済日報』は27日、関連銘柄として国薬控股(
01099)、上海復星医薬(
02196)、開拓薬業(
09939)を挙げた。
新型コロナ変異型が広がるインドでは、新規感染者が過去最悪の水準で推移している。同国衛生当局のデータによると、過去最多を26日まで連続5日で更新し、1日あたり35万5000人に迫る。歩調を合わせるように同国のワクチン輸出は急減した。ロイター通信がインド外務省の話として報じたところによれば、1月下旬から3月まで6400万本あったワクチン輸出が、4月は16日までで120万本にとどまった。一方、中国の国家衛生健康委員会の米鋒報道官は、同国のワクチン接種規模は延べ2億回を超えたものの、変異型が相次いで発見されたことに対応し、接種をさらに加速させる必要があるとの見解を明らかにした。
『香港経済日報』は、国薬控股の実質支配株主である中国医薬集団(シノファーム)が開発したワクチンの国内での接種が1億回を超えたと伝えた。国薬控股の于清明会長は先ごろ、ワクチン生産能力が年内に30億本に達し、世界最大のコロナワクチンメーカーになる見通しを明らかにした。同紙は国薬控股の株価が28.0HKドルまで上昇すると期待できるとみている。
一方、上海復星医薬は独ビオンテックからライセンスを得て、中国でコロナ用mRNAワクチン「復必泰(Comirnaty)」の臨床試験と承認申請、マーケティングを行っている。復必泰は香港とマカオではすでに接種が進んでいる。中国本土についても、上海復星医薬はまもなく医薬品承認を取得できる見通しを示した。『香港経済日報』は上海復星医薬の上値のめどを46.0HKドルとみている。
開拓薬業は新型コロナウイルスによる軽度から中等度の肺炎患者を治療するプロキシアルタミドの第3相臨床試験を米国で行っており、最初の被験者の登録と投与を完了した。同社はアンドロゲン受容体(AR)とがんの治療に使う新薬の開発で知られる。