30日の香港市場は方向感が乏しいか。欧米での新型コロナウイルスの感染再拡大や、11月3日の米大統領選を前に積極的な売買を見送る気分が強く、決算や業績見通しなどを受けた個別銘柄の物色が中心になると予想する。ハンセン指数は前日までの3日間で1.33%下落しており、好業績や中国の産業振興策を手掛かりに買い戻しが入りやすい。ただ、米株式相場は29日に反発したものの、アジア時間30日朝方のダウ平均先物は下落している。NY市場の大引け後に発表されたアップルやアマゾン・ドット・コムなど米ハイテク株の決算はほとんどの銘柄が市場予想を上回ったが、株価は高安まちまちとなっている。
一方、中国共産党は29日まで開いた第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で「第14次5カ年計画」(2021−25年)の指針を決め、内需拡大や先端技術の内製化を打ち出した。関連銘柄に買いが入る可能性がある。もっとも、重要イベントを通過したことで上海総合指数が反落すれば、売りが香港市場に波及する展開がありそうだ。
29日のNY株式相場は反発。米7−9月期GDP速報値や新規失業保険申請件数が予想より強い結果となったことが好感された。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、国際金融銘柄のHSBC(
00005)とAIAグループ(
01299)、中国インターネットサービス大手テンセント(
00700)が香港終値を上回った半面、中国4大商業銀行の中国建設銀行(
00939)と中国工商銀行(
01398)、乳業大手の中国蒙牛乳業(
02319)などが下回って引けた。