週明け1日の香港市場は反発スタートか。トランプ米大統領は前週末の記者会見で、「香港国家安全法」の制定方針を採択した中国への制裁として、米国が香港に認めている優遇措置を見直す手続きに入ると表明したものの、貿易合意の撤回や追加関税には言及しなかった。発表内容は市場が警戒していたほど厳しい内容ではなかったと受け止められた。前週末に香港市場は米国の対中制裁を警戒して節目の23000ポイントを割り込んだだけに、買い戻しが先行しそうだ。
ただ、買い一巡後は上値の重い展開になる可能性がある。香港問題や新型コロナウイルスの感染拡大などを巡って米中対立が一段と激しさを増すことは避けられず、米国の制裁に中国は報復措置をとる構えを示している。対立の激化が世界経済に与える悪影響に対する懸念が上値を抑えるだろう。
5月29日のNY市場でダウ平均は小幅安。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、主力株では欧州金融のHSBC(
00005)が香港終値を下回った半面、中国IT大手のテンセント(
00700)、アジア生保大手のAIAグループ(
01299)、本土国有銀行大手の中国建設銀行(
00939)が上回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を150ポイント超上回る水準で寄り付くことになる。
なお、中国国家統計局と中国物流採購聯合会が5月31日発表した2020年5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6となり、市場コンセンサス予想(51.0)を下回った。前月比0.2ポイント低下したものの、3カ月連続で50以上の水準を維持した。きょうは5月の財新製造業PMIが発表される。