12日の香港市場は前日の米株安の流れを引き継ぎ売り優勢で始まるか。11日の米NY株式相場は主要3指数がそろって大幅反落。ダウ平均は史上最高値を付けた2月12日からの下落率が20%を越え、「弱気相場入り」の目安を満たした。また、新型コロナウイルスを巡っては、世界保健機関(WHO)事務局長が「パンデミック(世界的な大流行)に相当する」と表明。感染拡大の収束目処が立たないなか、香港市場でも世界景気の後退懸念が引き続き相場の重しとなるだろう。
一方、世界的な経済対策の動きに対する市場の反応には引き続き注目したい。前日には英イングランド銀行(中央銀行)が緊急利下げを発表。きょう開催される欧州中央銀行(ECB)定例理事会や、来週17−18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では利下げが確実視されている。米国では新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて、トランプ大統領がきょう日本時間午前10時から国民向けの演説を行う。
また、新型コロナウイルスを「基本的に抑え込んだ」と伝わる中国では、発生地の湖北省で1カ月半ぶりに一部企業の操業再開を認めると発表した。経済対策では李克強首相が11日に開かれた国務院の会議で一部銀行に対する預金準備率引き下げを要請。20日に実質的な政策金利である最優遇貸出金利(LPR)の発表に向けて、中国の金融緩和に対する動向も注目されてくるだろう。
11日の香港株の米国預託証券(ADR)は、時価総額上位のテンセント(
00700)、AIAグループ(
01299)、HSBC(
00005)などが香港終値を大きく下回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を310ポイント超下回る水準で寄り付くことになる。