15日の香港市場も軟調な展開か。米中通商協議をめぐる不透明感や、緊迫化する香港情勢から投資家がリスクを取りにくい状況は続くだろう。中国ネット通販最大手、アリババ・グループ(BABA)の大型IPO(株式新規公開)を受けた資金ひっ迫懸念も相場を圧迫しそうだ。
米中協議をめぐって、中国商務部の高峰報道官は14日の定例記者会見で、米中通商協議の合意条件とされる対中追加関税の撤廃について、「撤廃の割合が第1段階の合意の重要性を表す」と強調した。農産品の購入や追加関税の扱いなどで両国の交渉が難航しているとも伝えられている。一方、デモ隊と警察の激しい衝突が続いている香港では、れんがが当たった70歳男性の死亡が明らかになった。中国の習近平国家主席は14日、抗議行動によって高度な自治を有する香港統治の原則である「一国二制度」が脅かされていると警告した。習氏が香港での暴力行為について言及するのは異例。
アリババ・グループは香港市場への重複上場に向け、きょう15日から20日まで公募を実施する。調達額は最大で1045億HKドルに上り、実現すれば今年の世界最大のIPOになる見通し。公募期間中はIPO応募資金が拘束される。
前日のNY市場でダウ平均が小幅に6営業日ぶりに反落し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は続落した。14日の香港株の米国預託証券(ADR)は、欧州金融大手のHSBC(
00005)、中国国有銀行の中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)、通信キャリア大手のチャイナ・モバイル(
00941)が香港終値を下回った半面、IT大手のテンセント(
00700)、アジア生保のAIAグループ(
01299)が上回って引けた。