1日の香港市場は売りが先行するか。米中通商合意への懸念が再び高まり、リスクを回避する動きが優勢になりそうだ。米ブルームバーグ通信は10月31日、「中国の高官がトランプ米大統領の直情的な性格も理由に、長期的な米中通商合意について懐疑的だ」と報じた。トランプ米大統領は寄り前に、米中が第1段階合意の署名のためのチリに代わる場所を選定しているとツイートしたものの、市場では米中交渉の先行き不透明感が意識された。
注目されている中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が31日に閉幕した。会議後に公表したコミュニケでは「国家の安全を守る法律制度と執行の仕組みを確立する」「一国二制度を堅持・改善する」などと明記し、長期化する香港問題に介入を辞さない姿勢を示した。一方、経済政策については「資源配分で市場に決定的な役割を発揮させる」と記したものの、具体的な景気対策などに関する議論は乏しかったとの見方が出ている。今回の会議についてきょう午前に国務院新聞弁公室が記者会見を行う予定。
前日のNY市場でダウ平均は140米ドル安と反落し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も反落した。31日の香港株の米国預託証券(ADR)は、アジア生保大手のAIAグループ(
01299)、中国IT大手のテンセント(
00700)、欧州金融大手のHSBC(
00005)、中国国有銀行の中国建設銀行(
00939)といった大型株が香港終値を下回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を約200ポイント下回る水準で寄り付くことになる。
きょう日本時間の午前10時45分に10月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。市場予想は51.0、前月実績は51.4。