休場明け8日の香港市場は神経質な展開となるか。今週10−11日にワシントンで米中閣僚級通商協議の開催が予定されているが、中国政府は交渉範囲を絞りこむ意向を示しており、トランプ米大統領が望む形の全面的な合意に応じないもようだ。米国側も7日、監視カメラ・レコーダー世界的大手の杭州海康威視数字技術(
002415)などを安全保障上懸念のある外国企業を並べた「エンティティー・リスト」に加えると発表しており、協議の行方を見極めようと慎重姿勢が強まりそうだ。
一方、香港では林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が4日、「緊急状況規則条例(緊急条例)」を適用し、デモ参加者がマスクなどを着用することを禁止する「覆面禁止法」を制定すると発表した。ただ、同規則が発効した5日以降も香港各地ではデモ隊と警官隊との激しい衝突が続いており、香港鉄路(
00066)が運営するMTRでは設備の破壊を受け運行停止を余儀なくされたほか、デパートやスーパーでも一時休業や営業時間の短縮などが相次いでいる。
また、香港金融管理局が10月31日にも1日あたりの預金引き出し額を6000HKドル、1週間で最大4万2000HKドルに制限する措置を発表するとのデマがSNSで拡散している。金融管理局は即座に否定しているが、混乱収拾の兆しがみえない香港では市民がATMに長い行列を作り、一部ATMでは現金切れの状態となっているようだ。
なお、中国本土では1週間に及ぶ国慶節連休が終了し、きょう8日から取引が再開される。相互取引制度を通じた本土市場から香港市場への資金流入再開が期待される。