中国インターネットサービス大手のテンセント(
00700)とアリババ・グループ(BABA)が中国政府系の信用情報データベース機関「百行征信」に対し、利用者の借入金や支払い履歴などを基に信用力を数値化した信用スコアの提供を拒否しているもようだ。百行征信は中国人民銀行(中央銀行)が主導して2018年3月に設立し、公的な信用履歴を持っていない中国人4億6000万人をカバーする国家システムの構築を目指している。現時点で、個人信用情報を金融機関などに提供する権限を持つ中国で唯一の企業だ。ところが、IT大手が自社サービス利用者の情報を手放したがらず、未だに情報収集が一部にとどまっている。英『フィナンシャル・タイムズ』が消息筋の話として19日伝えた。
テンセントとアリババはもともと、それぞれ「騰訊征信(テンセント・クレジット)」と「芝麻信用(セサミ・クレジット)」を通じて独自に信用スコアの仕組みを運用しようとしたが、18年2月に人民銀が差し止めた経緯がある。代わって発足した百行征信は、騰訊征信や芝麻信用、平安銀行(
000001)傘下の前海征信、考拉征信などフィンテック8社が各8%出資し、残り36%を中国インターネット業界団体の中国互聯網金融協会が保有する。
ただ、百行征信職員によると、出資者8社のうち百行征信システムへのデータ提供に同意したのは3社だけだ。百行征信との交渉に詳しいテンセント元社員は、「(人民銀が)下部組織を通じず、直接データ提出を求めていたら、提供に応じていたのではないか」と語った。芝麻信用と百行征信、騰訊征信はコメントを控えている。
テンセントの株価は日本時間午後3時55分現在、前日比1.28%高の338.60HKドルで推移している。