11日の香港市場は買いが先行も、上値が重い展開か。米国と中国が貿易協議歩み寄るとの観測が浮上した上、中国の金融緩和と産業政策が景気を下支えするとの期待は強い。半面、市場では交渉の長期化に伴う世界経済の減速懸念がくすぶる。買い一巡後は投資家が積極的な売買を控える展開がありそうだ。
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』は10日、中国政府は米国に対し、追加関税の発動延期や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁緩和を条件に、米国製品の購入を増やすと提案したと伝えた。ただ同記事によると、中国は補助金や産業政策、国有企業改革での譲歩は依然として拒んでいる。また、中国指導部は米国との対立に持久戦で臨む方針で、米国との協議は貿易戦争の一時停止を目指すものとみているという。
一方、トランプ米政権で通商を担当するナバロ大統領補佐官は10日、来月に米ワシントンで開く米中閣僚級協議を忍耐強く見守るよう、投資家や企業経営者、国民に求めた。ナバロ氏は米CNBCのインタビューで、「壮大な結果を得ようとするなら、本当に事態を成り行きに任せるべきだ」と述べ、早急な成果は期待できないとの見解を示した。
11日のNY株式相場は、ダウ平均が5日続伸した半面、ハイテク株主体のナスダック総合は3日続落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。国際金融銘柄のHSBC(
00005)やAIAグループ(
01299)が香港終値を上回ったものの、中国4大商業銀行の中国工商銀行(
01398)、香港公益株のホンコン・チャイナガス(
00003)が下回って引けた。