2019-09-09 |
香港/マーケット/証券 |
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【相場見通し】買い先行か、中国の預金準備率引き下げを好感
週明け9日の香港市場は、中国の金融緩和を好感する買いが先行するか。中国人民銀行(中央銀行)は6日、金融機関の預金準備率を16日付で0.5ポイント引き下げると発表した。全面的な預金準備率引き下げは今年1月の1ポイント引き下げ以来8カ月ぶり。これとは別に、中小企業や民営企業への金融面での支援を強化するため、営業地域が省クラスの都市商業銀行を対象に、預金準備率をさらに1ポイント引き下げると決めた。人民銀は、今回の預金準備率引き下げにより金融機関が貸し出せる長期資金が約9000億元増えると見込んでいる。流動性の改善で株式市場へ資金が流れやすくなる。市場では、ハンセン指数が今週中に心理的節目の27000ポイントを試すという楽観的な見方も出ている。
ただ、中国経済の悪化や、香港の抗議デモの長期化に対する懸念が根強く、高値追いの動きを抑える可能性がある。週末に発表された中国の8月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比1.0%減となり、市場予想(2.0%増)に反して伸び率がマイナスに転じた。米中貿易摩擦の影響が鮮明になり、8月の対米輸出は16%減と、7月から落ち込み幅が約9ポイント拡大した。一方、香港では週末にデモ隊と警察の激しい衝突が再び起きた。香港政府トップの林鄭月娥・行政長官が4日、「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を発表したものの、デモが収束に向かう兆しは見えない。
前週末のNY市場で主要指数はまちまち。ダウ平均とS&P500が小幅に3日続伸したものの、ハイテク株比率のナスダック総合は3日ぶりに小反落した。米中の貿易協議の進展に対する期待や、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測が相場を支えた半面、週末を控えて利益確定売りが重荷となった。