6日の香港市場は前日の米株高の流れを引き継ぎ、反発して始まるか。中国政府が金融政策を緩和に傾ける姿勢を示し、米国と閣僚級の貿易協議を10月初めにワシントンで開くと合意したこともあって、買いが先行すると予想する。市場では、中国国務院常務会議の発表を受け、「早ければ9月に中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率と中期貸出制度(MLF)金利を引き下げ、銀行融資の指標であるローンプライムレート(LPR)を低めに誘導する」(モルガン・スタンレー)との観測が広がっている。5日のNY株式相場は、7月の米製造業新規受注や8月のISM非製造業総合指数などの経済指標が総じて強い結果だったことで、ダウ平均が大幅に続伸して約1カ月ぶりの高値で終えた。ハイテク株主体のナスダック総合も続伸した。
もっとも、買い一巡後は相場の方向感が乏しい展開がありそうだ。米中閣僚級協議はもともと9月に開催する予定だったもので、事前の電話協議で一致点が見いだせなかったため翌月に先延ばしされたとみられる。双方の交渉姿勢が軟化する明確な兆しは見えておらず、またも物別れに終わる公算は小さくない。4日にトランプ米大統領が、中国との貿易協議で華為技術(ファーウェイ)への制裁緩和を取り上げない方針を示唆しており、中国が反発しそうだ。また、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が「逃亡犯条例」改正案の正式撤回を表明したものの、香港市民の抗議活動が沈静化する保証はない。
5日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。中国インターネットサービス大手テンセント(
00700)や生保大手の中国平安保険(
02318)、乳製品メーカーの中国蒙牛乳業(
02319)が香港終値を上回った半面、中国4大商業銀行の中国工商銀行(
01398)と中国銀行(
03988)、携帯通信最大手のチャイナ・モバイル(
00941)が下回って引けた。