5日の香港市場は売り優勢で始まるか。香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日夜、「逃亡犯条例」の改正案を正式に撤回すると表明。この発表を前にした期待感から同日のハンセン指数は1000ポイント近く上昇しており、ひとまず目先の利益を確定する売りが出やすくなりそうだ。市場では「香港情勢は最悪期を過ぎた」(香港経済日報)として警戒感が和らいだものの、デモ参加者らの要求が拡大するなか、依然として先行き不透明感が相場の重しとなるだろう。
もっとも、売り一巡後は底堅い展開か。欧州では英議会が前日にEU離脱延期法案を賛成多数で可決したことを受けて、リスク警戒ムードが後退。また、中国では国務院(内閣に相当)の会議で、預金準備率の追加引き下げが示唆されており、政府の景気支援に対する期待感が相場を下支えするだろう。
なお、前日の米NY株式相場は主要3指数がそろって反発。香港・欧州リスクの後退で買いが先行した。一方、同日の香港株の米国預託証券(ADR)は欧州金融大手のHSBC(
00005)、アジア生保大手のAIAグループ(
01299)、本土国有銀行大手の中国建設銀行(
00939)などが香港終値を下回った半面、中国IT大手のテンセント(
00700)が上回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を約80ポイント下回る水準で寄り付くことになる。