6日の香港市場は神経質な展開か。トランプ米大統領は5日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を予定通りに、米東部時間の6日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動すると表明した。自動車や半導体、医療機器、産業機械など818品目、340億米ドルに相当する輸入品に25%の追加関税を課す。中国もすぐに米輸入大豆や自動車などに同規模の報復関税を発動すると表明しており、米中の相互に高関税を掛け合う「貿易戦争」が本格化する。米中によるきょうの関税発動は市場である程度織り込まれているものの、トランプ氏は中国が対抗措置を取れば、さらに2000億ドル分の中国製品に追加関税を課す構えを示していただけに、今後の動きを見極めたいとする投資家の慎重な姿勢は続くと予想する。
軟調な本土相場も投資家心理を悪化させている。前日の本土市場で上海総合指数は約2年4カ月ぶり安値を更新して引けた。中国人民銀行(中央銀行)は5日付で預金準備率の引き下げを実施し、市中銀行の手元資金が7000億元増えた半面、人民銀は5日までの9日間に公開市場操作(オペ)を通じて差し引き7600億元の資金吸収。米中貿易摩擦への根強い懸念に加え、流動性緩和への期待の後退が引き続き相場の重荷になりそうだ。
一方、ハンセン指数の5日終値は2017年10月24日以来、ほぼ9カ月ぶりの安値水準。テクニカル指標RSI(14日)は売られすぎの基準を下回っており、自律反発を狙った買いがある程度相場を下支えると予想する。前日のNY市場でダウ平均とナスダック総合がそろって反発したことも好感されよう。なお、5日の香港株の米国預託証券(ADR)は、欧洲金融大手のHSBC(
00005)、IT大手のテンセント(
00700)、アジア生保のAIAグループ(
01299)が香港終値を上回った半面、石油メジャーのペトロチャイナ(
00857)、CNOOC(
00883)、4大国有銀行の中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)などが下回って引けた。