28日の香港市場は前日の米株安の流れを引き継ぎ、売りが先行か。米中貿易摩擦への警戒感がくすぶり、投資家がリスク投資に慎重な姿勢を崩さないと予想する。トランプ米大統領が声明で、中国企業に課す投資制限で既存の対米外国投資委員会(CFIUS)を活用すると表明したことから、27日序盤のNY株式市場では米政権が対中強硬策をとらない見方が広がった。ただ、米議会で審議するCFIUSの強化法案は中国資本の対米投資を大幅に制限する条項を含む。さらにクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が27日、テレビ番組『FOXビジネス』で「トランプ大統領は中国への姿勢を緩めていない」と発言した上、通商交渉での中国側の対応に不満を表明した。
一方、6月中旬以降に人民元の対米ドル相場が急落しており、市場関係者の一部は中国政府が貿易戦争の手段として人民元安を仕掛けたと受け止めているもようだ。人民元安を受けて海外から中国本土市場への資金流入が細れば、香港市場に重複上場する本土系銘柄にも下げ圧力がかかる。
もっとも、前日のハンセン指数は3日続落し、終値は2017年12月7日以来およそ6カ月半ぶりの安値を付けただけに、割安感に注目する買いが入りやすい。売り一巡後は下げ渋る展開がありそうだ。27日のNY市場で原油先物相場が3年7カ月ぶりの高値を付けたことも、関連銘柄の買い材料となろう。
27日の米株式市場でダウ平均は反落し、5月3日以来ほぼ2カ月ぶりの安値で終えた。ハイテク株主体のナスダック総合も反落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。中国石油メジャーのシノペック(
00386)とペトロチャイナ(
00857)、欧州金融大手のHSBC(
00005)が香港終値を上回った半面、中国IT大手のテンセント(
00700)、石炭大手の中国神華能源(
01088)、アジア基盤の生保会社AIAグループ(
01299)が下回って引けた。