4月の招福銘柄は、政策支援銘柄や業績改善銘柄を中心に選んだ。中国政府が設備更新や買い替えの促進策を打ち出すなか、家電のTCLエレクトロニクス(
01070)、鉄道向け電力制御システムの株洲中車時代電気(
03898)に恩恵が及ぶことが期待される。このほか、過去最高益を達成した映画のオンラインチケット最大手の猫眼娯楽(
01896)、下期に業績改善が進んだ電動工具の創科実業(
00669)を選択。株価急落後の戻りを狙って高速道路銘柄の浙江高速道路(
00576)も選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■浙江高速道路(00576):決算発表後に急落も戻りを試す展開に期待
株価:5.02 HKドル(3/28終値)
【浙江省政府傘下の高速道路事業者】23年12月本決算の発表を受けて株価が急落したものの、配当の権利が5月に落ちるのを前に戻りを期待して選んだ。3月末に発表した23年12月本決算は市場予想を上回ったものの、純利益は1%増と小幅な増益にとどまった。しかも10−12月期に限れば49%の減益、期末配当も前年に比べて15%の減配と失望を誘った。ただ、前年の業績は約19億元に上る子会社売却益という特殊要因によるもので、市場の反応はやや過剰にみえる。株価下落によりバリュエーション面で割安感が強まっており、配当利回りは7%近い水準。例年5月の配当権利落ち前に戻りを試す展開に期待したい。
■創科実業(00669): 米国の底堅い景気が材料、23年下半期に業績改善
株価:106.10HKドル(3/28終値)
【電動工具の世界大手】米国の景気が底堅いとの見方から買いを集めると予想する。売上高の約75%を稼ぎ出す米国市場で、主力製品の電動工具の販売増加が期待できそうだ。米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切れば、米住宅市場が活況となる上、金融費用の圧力軽減につながるだろう。23年下半期の業績改善も支援材料。23年6月中間決算は金融費用が増加したこともあって前年同期比18%減益だったが、23年12月本決算では減益率が9%に縮小し、売上高は前年を4%上回った。株価は23年2月以来の高値圏にあるものの、上値を追う余地はありそうだ。
■TCLエレクトロニクス(01070):家電の買い替え促進策が追い風、五輪を前に需要増加も
株価:2.83HKドル(3/28終値)
【テレビの世界大手】政府が推進する家電の買い替え促進策が追い風。不動産市況の低迷で新居用の家電需要は鈍化が見込まれるものの、政府の補助金次第ではリーマンショック後の国内消費を支えた「家電下郷」再来への期待も高まりそうだ。6−7月に開催されるサッカーの欧州選手権、7−8月に行われるパリ五輪という大型のスポーツイベントもテレビ買い替えの連想につながりやすい。特に同社はテレビやタブレットなどの売上高に占める海外比率が6割に達しており、海外での需要増も取り込める強みを持つ。バリュエーションは24年予想PERが8.8倍と割安な水準にある。
■猫眼娯楽(01896):映画市場の回復が追い風、23年本決算は過去最高益
株価:9.56HKドル(3/28終値)
【映画のオンラインチケット最大手】防疫規制撤廃後の映画市場の回復で株価の上昇に期待したい。3月下旬時点で興行収入は前年同期を上回る水準で推移しているほか、24年興行収入トップ10のうち猫眼娯楽が関わった作品はカーアクション『飛馳人生2(ペガサス2)』など3本がランクイン。23年12月本決算は売上高が前年比2.1倍の47億5700万元、純利益が8.7倍の9億1000万元に上り、いずれも過去最高を記録。猫眼娯楽が配給・制作を主導した映画「満紅紅」の興行収入は45億元で、23年の中国本土での興行収入ランキング1位、中国映画で歴代6位の大ヒットだった。
■株洲中車時代電気(03898):政策支援で業績拡大に期待、バリュエーションは割安
株価:24.80HKドル(3/28終値)
【鉄道向け電力制御システム大手】中国当局は全人代後に設備更新を後押しする「行動方案」を打ち出しており、交通運輸設備の更新も支援対象に含まれたことが追い風。24年の中国の鉄道固定資産投資が8000億元に回復するとみられており、同社の軌道交通設備部門の業績拡大が期待される。また、性能パワー半導体IGBTや新エネ車電気駆動系など新分野設備部門も政策支援の恩恵を受けそうだ。一方、バリュエーションは割安感がある。ブルームバーグによると現在の株価で24年予想PERが9.5倍、予想PBRが0.81倍にとどまり、過去10年平均の14.8倍、2.0倍を大きく下回っている。